「誰でも簡単にアイデアを量産し、ユニークな企画を次々と生み出す秘訣」を伝授する連載企画。第10回は企画をプレゼンするために欠かせない企画書作りについて取り上げる。企画書作りと聞くと面倒で時間がかかるものと思いがちだが、楽をしながら素早く資料化するコツがあるという。

企画書作成のコツをつかんで、楽して時短しよう(写真/Shutterstock)
企画書作成のコツをつかんで、楽して時短しよう(写真/Shutterstock)

 企画を実行に移すためには、多くの場合、意思決定者の承認を得る必要があります。そのときに避けて通れないのは、企画書作りです。多くの方が、何らかの企画書を作っているのではないでしょうか。

 私もプランナーという仕事をしているため、相当な数の企画書を作ってきました。広告会社にいた頃、プレゼンテーション前には夜通しで資料作成をしていました(つらかった……)。クライアントへの提案資料だけでなく、提案に持っていくための社内資料も作っていました。企画を考えることや打ち合わせ以上に、企画書作りに一番時間がかかっていたと思います。

 ひたむきに企画書作りにまい進していた私ですが、企画書作りはとても面倒で、嫌な仕事でした。それでも、形にしないと相手に伝えられないので、避けては通れません。できるだけ省エネできて、それでいてちゃんと伝わるように、とガシガシ資料を作っていたら、いつの日か先輩から「清水は資料を作るの、本当速いな」と言われるようになりました。“パワーポッター(熱心にパワーポイントを書く人)”という、名誉なのか不名誉なのか、よく分からない称号も頂きました。

 「全国企画書作成選手権」は(多分)ないので、自分がどれだけ速いかは分からないのですが、今回は私が普段から実践している、楽をしながら早く企画書を作るためのショートカットについてお話しいたします。

「プレゼン準備にかける時間は、コストと思え」

「時間をかければ良いものができる」──創造的な作業にありがちなバイアスを取り除こう
「時間をかければ良いものができる」──創造的な作業にありがちなバイアスを取り除こう

 小見出しの「プレゼン準備にかける時間は、コストと思え」という言葉は、経営大学院でプレゼンを教えている講師から頂いたものです。

 「このクラスで教えるのは、効果的なプレゼンのやり方です。プレゼンのゴールは、人を動かすというアウトプット。そのアウトプットを生み出すためのプロセスは、コストと認識してほしい」

 企画書作りに凝り始めると、文字を大きくしたり、小さくしたり、目に付くすべてが気になり始めるものです。自分がそうでなくても、周りのチームメンバーがそうなってしまうと、企画書作りは延々と続きます(つらい……)。

 ハウツーの話の前に、改めて意識し直したいのは、最小限の労力で最大限の効果を出す、ということです。当たり前の話ですが、当たり前のことほど、意外とできていないものではないでしょうか。

 では、最小限の労力で、企画書を作るにはどうすればいいか。その答えは、「やめること」です。新たなものを取り入れるのではなく、逆に今あるものの中から潔く捨ててしまうことが、労力を減らすと同時に伝えたい内容がシャープになり、楽して伝わる企画書作りにつながります。

(1)いきなり企画書を作ることをやめる

料理を始める前にレシピを作ろう。優先するものを中心に、取捨選択、入れ替えを考えよう
料理を始める前にレシピを作ろう。優先するものを中心に、取捨選択、入れ替えを考えよう

 パワーポイントを新規作成で立ち上げ、まずはタイトル的なものを作り、その次に要件の整理をまとめ、その次に……、など考えながら作っていませんか? このやり方だと、レシピを考えながら料理を作るようなものです。

 企画書に落とし込むのは最後。いきなり企画書を作るのではなく、まずは短く箇条書きで話の流れを列記しましょう。箇条書きにしてみると、話の流れがつながっているかどうかが分かりやすくなり、足りていないところ、冗長なところが把握できるので、必要最低限のページ構成が見えてきます。

 削るべきもの、簡略化すべきものの見極め方は、「相手が知っているか」と「相手の興味があるか」の掛け合わせです。一番重要なのは、相手が知らないことで、なおかつ相手の興味があること。それ以外は、時間をかけて資料に落とし込むまでもない内容です。

(2)ページデザインを考えることをやめる

シンプルな3段構成でデザインに悩む時間をやめよう
シンプルな3段構成でデザインに悩む時間をやめよう

 各ページの見せ方に、どうしてもこだわりがちです。「企画書の上手な見せ方」といった趣旨の書籍を見ると、こんなにもバリエーションがあるのかと感動しますが、私は基本のレイアウトは1つしか使いません。それは、上図のような、「タイトル」「メッセージ」「ボディー」の超単純な3段組みです。タイトルは、何を論じるかの問い。メッセージはそれに対する答え。ボディーはメッセージの根拠と補足。それで大抵のことは伝えられます。

 レイアウトの選択肢があるから悩むのであって、これしか使わなくていい、と決めてしまえば、手間がぐっと減ります。何より見やすくて、相手にも親切です。

 また、文字サイズも統一します。文字サイズがバラつかないことで、より見やすくなるだけでなく、文字数も限られてくるので必然的に書く内容も絞り込まれます。

 「短く言葉をまとめるのが難しい」と思われるかもしれないですが、全部を伝えようとしていませんか? メッセージは、端的に何を言いたいかです。頭の中で「つまり」という言葉から始まる一文を考えてみてください。言い足りないものは、ボディーの部分で補足しましょう。