「誰でも簡単にアイデアを量産し、ユニークな企画を次々と生み出す秘訣」を伝授する連載企画。第7回の「100人の唎酒師」に続き、第8回は、沢の鶴が9月に全国で発売する日本酒「たまには酔いたい夜もある」の開発秘話。プロジェクトは、女性の「酔いたくても、酔えない現実」に向き合うところから始まった。
第7回は、私が実際に関わった日本酒の開発プロジェクトで、9月に全国で発売する新商品の1つ、「100人の唎酒師(ききざけし)」の、コンセプトづくりからコミュニケーション設計についてご紹介しました。今回は、もう1つの新商品「たまには酔いたい夜もある」(以下、『たま酔い』)について、もう少し川下のコミュニケーション展開を重点的にお話ししようと思います。
「女性向け日本酒は鬼門」に対する挑戦
もう1つの商品のコンセプトの方向性は、「100人の唎酒師」と同様、アンケート調査を経て、「働く女性が土曜の夜に飲みたいお酒」を提案しました。その背景としては、女性に限定して日本酒に関するアンケート調査をしたところ、43%の方から「とても好き」「やや好き」という回答を頂いており、度数の高さや酔いやすさに対する声はありつつも、受け入れられる可能性を感じたためです。
ところが、沢の鶴の担当者の顔が曇り始めます。
「過去、女性向けの日本酒は各社がつくってきた。けれど、成功したのは一握りしかない」
度数が低く、発泡タイプの日本酒が女性を中心にヒットしたこともあり、業界でもよく知られていました。しかし、それはほんの一握りだというのです。過去の経験は無視できません。チャレンジングなコンセプトであることは確かです。慎重に議論を進めていくことになりました。
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