「誰でも簡単にアイデアを量産し、ユニークな企画を次々と生み出す秘訣」を伝授する連載企画。第7回、第8回は、2020年9月に全国で販売開始する日本酒「100人の唎酒師」「たまには酔いたい夜もある」の開発秘話を紹介する。
ここまで6回にわたり、アイデアの発想法から、アイデアを企画として仕上げていくための考え方について紹介してきました。第7回は、私が実際に関わったプロジェクトで、2020年9月から全国で販売開始する2つの日本酒「100人の唎酒師(ききざけし)」「たまには酔いたい夜もある」の開発秘話についてお話ししたいと思います。
「日本酒って、好きですか?」
きっかけは、1本の電話でした。プロダクト共創プラットフォームを運営するTRINUS(東京・渋谷)の担当者から、「新しい日本酒をつくるプロジェクトがあるのだけど、参加してみませんか?」と連絡をいただきました。脊髄反射的に二つ返事で即答です。なぜなら、もともと日本酒が大好きで、「いつか日本酒に関する仕事をやってみたい!」とずっと思っていたからです。本連載の第2回で紹介した「浮世絵ぷちぷち(川上産業)」という日本酒用包装材の開発に関わっていたこともあり、不思議なつながりも感じていました。
アルコール離れの現代に、どんな日本酒をつくるべきか?
プロジェクトの発起人は、日本屈指の酒どころ、灘で酒造りをしている沢の鶴(神戸市)です。私を含めた外部のプランナーやデザイナーが一堂に介し、新たな2商品を生み出すプロジェクトがキックオフされました。すると沢の鶴の担当者から開口一番、「今までにない新しいコンセプトの、日本酒をつくりたい」という言葉が発せられました。
日本酒の現状や課題を掘り下げてみると、やはり背景にあるのはアルコール離れ。統計データを見ても、清酒の消費量は年々下降傾向にありました(厳密には、二級酒の消費が落ちており、一級酒は海外への輸出を含めて盛り上がりを見せているのですが、ここでは日本酒全体としてという意味合いにしております)。
個人的には、日本酒はとてもおいしく、数多(あまた)ある種類を飲み比べる楽しみがたまらないのですが、アルコール度数が高いため、飲みやすいRTD飲料(Ready to Drink/缶やペットボトル入り飲料)がポピュラーな現代においては、なかなか選ばれにくいカテゴリーでした。
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