数々のアワードで受賞を重ねるプランナーの清水覚が、自ら実践する「誰でも簡単に アイデアを量産し、ユニークな企画を次々と生み出す秘訣」を伝授する連載企画。第2回は、実践編。どんな人でも奇想天外なアイデアが次々出てくる裏技「強制発想法」を解説する。
さぁ、アイデアを出そう! と思っても手が進まない……
第1回では、アイデアを生み出しやすくするための意識の持ち方、マインドセットについてお話ししました。アイデアは高尚なものではなく、ただの思いつきにすぎず、子供のように無邪気に考える必要があります。そのためのマジックワードもご紹介しました。
さて、第2回からは早速、実践編です。どんな人でも奇想天外なアイデアを出せる裏技をお伝えします。
古典に学ぶ、アイデアの本質
アイデアについて説いた名著中の名著が、米国の実業家ジェームス・ウェブ・ヤングによる『アイデアのつくり方』(CCCメディアハウス)です。その中で彼は「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」と言っています。また、アイデアに関連して、イノベーションという言葉においても、経済学者のシュンペーターは「新結合」と定義しました。2人の賢人から、2つの学びがあります。
(1)無からは何も生まれない
よく「ゼロからイチを生み出す」と言われていますが、実際はゼロではなく、すでに存在する何かから生まれます。物理学の世界においても、化学変化の前後で質量が変わらないように、これはあらゆる物事の理に通じます。アイデアを出すとき、つい新しさを追い求めるあまり、ありもしない「まだ世の中にない何か」を探しがちです。そうではなく、すでに自分の中に蓄積されたものこそアイデアの源泉です。
(2)生み出すために、組み合わせる
そしてもう1つの学びは、アイデアは「組み合わせ」であること。自分がこれまで生きてきた中で培ってきた経験と知識、最近の関心事など、自分の頭の中にあるものを組み合わせることでアイデアは生まれてきます。そのために、ヤングは常日ごろからネタを集めましょうとも言っていました。
ただ組み合わせるだけ? 実務における落とし穴
とすると、自分が知っているものを組み合わせればアイデアが完成するように思えてきます。理論的には確かにそうかもしれませんが、目下、私たちに必要なのは、仕事で使えるアイデアです。そこで、脳内ワークショップとして、例題をお出しします。実際の仕事だと思い込んで、考えてみてください。
例題)チョコレートブランドXの新商品を、20代女性に売るアイデアを考えてください。
自由なアイデアを出す例題なので、詳細なターゲットや時期、予算などはあえて記載していません。思いつきを、心のどこかか、できれば適当な紙に箇条書きをしてみてください。
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