
動画の再生回数で広告収入を得る「YouTuber」のビジネスが大きく変化。多数のYouTuberを抱えるUUUMは広告に依存せず、グッズ販売やイベント収入など収益の多様化に乗り出した。その背景には個人が物販やコンテンツ販売、スキルシェアなどのビジネスを行う「個人経済圏」の急成長がある。
SNSの普及により個人が“メディア”を持てるようになった。簡易的にECサイトを構築できるサービスや、クラウドファンディングのような資金調達サービスの登場で、個人でもブランドが持てる環境も整った。「D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)」という次世代のブランドは2019年から日本でもトレンドになっている。
個人が得意領域でさまざまな事業を展開できるようになったのは、対応したデジタルプラットフォームが増えているからだ。このような個人を中心とした、新たな市場を個人経済圏と呼ぶ。
新型コロナウイルスは個人経済圏を押し広げる大きな転機になる。感染防止を図るため、官民が一丸となってリモートワークやオンライン授業の普及など、DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む。通勤が不要になり、空いた時間を活用しようという意欲が高まることでスキルシェアサービスの利用者が増えている。スキルのECサイトを運営するココナラ(東京・品川)の南章行社長は「新型コロナウイルスの流行後、スキルの出品数は前年比1.5倍で推移している」と明かす。
クラウドファンディング事業のCAMPFIRE(東京・渋谷)CEO(最高経営責任者)の家入一真氏は「新型コロナウイルスの流行は個人経済圏がテクノロジーによってエンパワーメントされていく、すごく大きなターニングポイントだと感じている」と言う。未曽有の危機は個人のDXを推し進める。
本特集では「物販」「スキルシェア」「コンテンツ配信」などのカテゴリーに分け、各プラットフォーマーが個人ビジネスのマーケティングをどのように変え、個人経済圏を成長させているかを探る。まずは、個人経済圏のプラットフォーマー戦略を推し進めるUUUMから紹介しよう。
YouTuberに訪れている大きな変化
デジタルプラットフォームを活用した、個人経済圏の代表格は「YouTuber」だろう。今、そのYouTuberの収益構造に大きな変化が起こっている。
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