企業や団体に属さない「個人」が、作品やスキルを提供してビジネスを展開する「個人経済圏」。アクセサリーから洋服、家具まで個人が制作した作品を販売する「Creema」は、ネット販売を核に大型商業施設への常設店舗も展開し、個人クリエイターのビジネス領域拡大をサポートしている。

個人クリエイターの作品売買に特化したプラットフォームの1つ「Creema」には、プロもしくはプロを目指す個人クリエイターが出品している
個人クリエイターの作品売買に特化したプラットフォームの1つ「Creema」には、プロもしくはプロを目指す個人クリエイターが出品している

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 都内で働く40代女性のAさんは、自他共に認める“靴マニア”だ。自宅のシューズラックには、プラダやセルジオ ロッシ、クリスチャン ルブタンといった有名ブランドのハイヒールからナイキのスニーカーまで、愛用の靴が並ぶ。

 その中に、見慣れないブランドの靴が数足。「個人で活動する靴デザイナーの作品です。自分の足にぴったり合ってデザインもいいと思える靴を探していたら、個人クリエイターにたどり着きました」(Aさん)。有名ブランドの靴も個人が作った靴も、気に入ればどちらでも買う、とAさんは話す。

 あらゆるものが簡単に買える時代、だからこそ納得できるものを手に入れたい――そう考える消費者が、洋服やアクセサリー、家具など個人が作った一点ものを買い求めるケースが増えてきた。従来ならば、ギャラリーやデパートのポップアップストアでしか買えなかったものが、今はネットを通じて手に入りやすくなっていることもある。後押しするのが、個人クリエイターによる作品の販売に特化した個人間売買のプラットフォームだ。

 個人間売買のプラットフォームというと、一般にはメルカリやヤフオク!などが知られている。だが、これらのサービスで出品される商品は雑多。フリマアプリと言われるように、不用品が大半を占める。その中に一点ものの作品を出品したところで、それを求める人の目に触れる機会は少ない。

 自分で作った作品を商品として販売するなら、BASEやストアーズ・ドット・ジェーピー(東京・渋谷)といったECサイト構築サービスを利用して、独自のECサイトを立ち上げる方法もある(関連記事「1分で完売 元AKB48小嶋陽菜が作る「D2Cブランド」人気の秘密」)。ただ、これらはいわば“個人商店”。知名度や商品の見せ方、集客などのノウハウがないブランドやクリエイターにとってはハードルが高い。

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