Z世代──10年後の中核層を攻略せよ

企業とZ世代を結び付け、商品開発につなげようというプログラムを展開するキュリオスクール(東京・目黒)。タイガー魔法瓶も参画した。同社の場合、中高生向けの市場開拓に加えて、同世代への知名度向上も狙った。そこで部活動に役立つ新商品を開発し、中高生の注目を引こうとした。

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タイガー魔法瓶が開発した「楽ジャグ」のプロトタイプ(左)と折り畳んだところ(右)。布製のシート素材とコックの溶着が難しかった(写真提供/タイガー魔法瓶)
タイガー魔法瓶が開発した「楽ジャグ」のプロトタイプ(左)と折り畳んだところ(右)。布製のシート素材とコックの溶着が難しかった(写真提供/タイガー魔法瓶)

 企業が出題するテーマに対し、中高生のZ世代が新商品のアイデアを競うイベント「モノコト・イノベーション」。中高生を支援して商品化に結び付けようとする企業の1つがタイガー魔法瓶だ。2016年に開催された決勝大会で優勝したチーム「DECO-BOCO」との共創で生まれた新商品が「楽ジャグ」である。当初は別の企業がDECO-BOCOと開発を進めていたが途中で断念。だがアイデアに注目したタイガー魔法瓶が開発を引き継いだ。タイガー魔法瓶にとっては新規事業になるため、現在は市場開拓を目指して販売パートナーを募集している段階という。

 楽ジャグは飲料用などの水をためておき、中高生が放課後の部活動で使うことを狙った大型水筒の一種。一般的にウオータージャグと呼ばれる。企業が出した「中高生のスポーツ部活動の場で欲しくなるモノ」というテーマに対し、女子高生2人と男子高生1人のDECO-BOCOのメンバーは、既存のウオータージャグに対する不満を洗い出した。

 ウオータージャグは普通、ステンレスやプラスチックを素材とした筒型になっている。しかし筒型はかさばって重く、内部も洗いにくい。乾きにくく、カビが生えやすいという声もあった。そこで楽ジャグでは柔らかい布製のシート素材を活用。水がなくなれば丸めて折り畳めるし、軽くなって洗いやすくなる。

中高生の情熱を評価せよ

 16年の決勝大会で楽ジャグのコンセプトは審査委員に高く評価されたものの、実際のプロトタイプ作りは難航したという。布製のシート素材と水を注ぐコックのつなぎ目から水漏れが起きたからだ。当初の企業は、この問題を解決できずに開発がストップした。このときタイガー魔法瓶が別のテーマでモノコト・イノベーションに参画し、楽ジャグのプロジェクトに関心を抱いた。

 「学生たちの話を聞き、彼らが作ったプロモーションビデオ(PV)を見ると、商品コンセプトが明確で、PVも人の心に響く内容で、これは面白いと思った。当社が引き継ぐことで商品化まで持っていけたらと考えて、引き取ることにした」(タイガー魔法瓶ソリューショングループ商品企画第2チームの小野昌之氏)

DECO-BOCOチームが「モノコト・イノベーション 2016」の決勝大会向けに制作したプロモーションビデオの1シーン。一般的なウオータージャグとの対比が寸劇入りでコミカルに描かれており、分かりやすく説得力があった(写真提供/キュリオスクール)
DECO-BOCOチームが「モノコト・イノベーション 2016」の決勝大会向けに制作したプロモーションビデオの1シーン。一般的なウオータージャグとの対比が寸劇入りでコミカルに描かれており、分かりやすく説得力があった(写真提供/キュリオスクール)
楽ジャグは「CEATEC JAPAN 2017」のキュリオスクールのブースに展示された。下は当時のプロトタイプで現在とデザインなどが異なる(写真提供/キュリオスクール)
楽ジャグは「CEATEC JAPAN 2017」のキュリオスクールのブースに展示された。下は当時のプロトタイプで現在とデザインなどが異なる(写真提供/キュリオスクール)
(写真提供/キュリオスクール)
(写真提供/キュリオスクール)
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