Z世代──10年後の中核層を攻略せよ

世界各国のZ世代から絶大な人気を集めるのが、富士フイルムのインスタントカメラ「“チェキ”instax(インスタックス)」シリーズ(以下、チェキ)だ。世界で100を超える国・地域で販売しており、1998年の発売から20年以上たったにもかかわらず、2019年3月期に過去最高の販売台数1002万台を記録したオバケ商品だ。

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2020年5月15日に発売した「“チェキ”instax(インスタックス)」シリーズの最新エントリーモデル「instax mini 11」。カラーはブラッシュピンク・アイスホワイト・スカイブルー・ライラックパープル・チャコールグレイの5パターンで、価格は7800円前後(税別)。明るさをオートで調節する機能なども搭載し、より「エモい」写真が撮れるようになった
2020年5月15日に発売した「“チェキ”instax(インスタックス)」シリーズの最新エントリーモデル「instax mini 11」。カラーはブラッシュピンク・アイスホワイト・スカイブルー・ライラックパープル・チャコールグレイの5パターンで、価格は7800円前後(税別)。明るさをオートで調節する機能なども搭載し、より「エモい」写真が撮れるようになった

 販売台数の約9割が海外というのも日本製品にしては異色。ちなみに、チェキという愛称を使っているのは日本だけで、日本以外ではinstaxの名称で知られている。

 チェキは、撮影したその場で写真が出来上がる手軽さが受けて、若い女性を中心にブームになった。しかし、デジタルカメラや携帯電話機の普及に伴い、2003年ごろには下火に。ブームに再度、火がついたのは、SNSが普及し始めた07年ごろだ。韓国のドラマや中国の人気モデルのブログに登場したこともあり、東アジア圏で大きく売り上げを伸ばした。

●instaxシリーズ販売推移(国内+海外)
●instaxシリーズ販売推移(国内+海外)
左から、13年発売のinstax mini 90 ネオクラシック、14年発売のinstax WIDE 300、18年発売のinstax SQUARE SQ6、18年発売のinstax SQUARE SQ20
左から、13年発売のinstax mini 90 ネオクラシック、14年発売のinstax WIDE 300、18年発売のinstax SQUARE SQ6、18年発売のinstax SQUARE SQ20

 その後、カナダや米国、欧州などでもチャネル拡大に動き、数年かけて世界的なヒット商品に成長した。いずれの国でも、Z世代を中心に高い支持を得ているのが特徴だ。

 日本の中高年世代にとって、チェキは長年愛されるロングセラー商品というイメージだろう。「懐かしい」「昔使っていた」という人もいるかもしれない。しかし、チェキブームが復活した07年頃、Z世代にとってのチェキはまったく「新しい」商品だったのだ。

【特集】Z世代──10年後の中核層を攻略せよ
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※第8回までのパワポまとめ 「5分で分かるZ世代 10年後の中核層を攻略せよ」
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【第10回】 Z世代はなぜ「チェキ」を買う? 富士フイルムが捉えた3つの特質 ←今回はココ
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【第14回】 Z世代と一緒に考える、2030年の未来

 チェキ人気に再び火がつき始めた頃、富士フイルムには「チェキはどこで買えるのか」という問い合わせが頻繁に届くようになった。当時、チェキの販売チャネルはカメラ店だけだった。

 「チェキの問い合わせ対応をしていると、相手の年齢がとても若いことに気がついた。デジタル化の波の中で、アナログのチェキが若い世代に注目されていることに着目した。すると、韓国ドラマで使用されたことをきっかけに、チェキの販売がアジア圏で好調だと分かった。社内でマーケティングチームをつくり、なぜ若い世代に売れているのかを深掘りしていった」(富士フイルム・イメージング事業部・インスタント事業グループ・マネージャーの高井隆一郎氏)

 高井氏たちが思い当たったのは、若い世代の中には、チェキを知らない人がいるのではないかということだった。実際、SNSにアップされたチェキの写真には、「これは何?」というコメントが付いていることもあった。つまり、当時の若い世代はチェキを全くの新しいガジェットとして受け止めていたのだ。

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