
「情報は自分でネットで調べる」「対面接客は必要ない」。そんな傾向が強いZ世代に対応し、新業態のデジタルストアを2020年3月にオープンしたのがコスメティックブランド「シロ(SHIRO)」だ。ルミネエスト新宿にオープンした「シロ セルフ(SHIRO SELF)」は、“接客レス”“パッケージレス”“ボーダーレス”という3つの“レス”が特徴だ。
待ち時間解消が当初の狙い
「シロ セルフ(SHIRO SELF)」は「⼈はいないけど、愛がある。」がコンセプトで、商品説明などの接客をする販売員を配置しない。来店客は気になる商品のQRコードをスマートフォンで読み取ることで説明の⾳声を聞き、販売員の接客を受けることなく商品を購⼊する。販売員が担当するのは金銭授受と商品の受け渡しのみ。リアルとデジタルを融合した新感覚の店舗だ。
「Z世代はオンライン、オフラインをシームレスに使いこなし、ものを選ぶことにたけている人たちだ」とシロ(東京・港)専務の福永敬弘氏は言う。生まれたときから身の回りにデジタルツールがあり、それらに子供の頃から当たり前に慣れ親しんだ世代。また、自らの行動が環境にどのように影響を与えるかを考えるエシカル(倫理的)な消費を意識する傾向が強い。それを意識して、SHIRO SELFのどの商品も、化粧箱を省いた形で販売している。商品そのものは従来型店舗で販売しているものと同じだが、価格は3%オフだ。
ただ、「デジタルツールを使った最先端の店を作ることが目的だったわけではない」と福永氏は打ち明ける。もともと、ルミネエスト新宿には、既存のSHIROの店舗があった。こちらは従来の百貨店における化粧品販売のスタイルを踏襲し、販売員が対面で商品説明をする店舗だ。「この店が大変好評で、非常に混むようになってしまった。すでに買うものが決まっている人でも、接客待ちの列に10分、15分と並ばなければならない。そんなときに、隣接店が退店するという機会があった」(福永氏)。
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