好調の陰で見落とした不調の要因

――19年第3四半期では24四半期ぶりの赤字となり、『モンスト』の売り上げ不振が要因の1つに挙げられました。

根本氏 第3四半期の赤字はオフィス移転費用の形状などによる一時的なものです。ただし、モンストの減収は事実で、ユーザー分析がこれまで不十分だったのではないかと考えています。マーケット畑の私が事業責任者になったのを機にそうした部分の改善を進めてきました。19年はそのための戦略やそれを実行する組織の見直しに掛けた1年と言っても過言ではありません。

 『モンスト』はリリースから6年たちましたが、売り上げが落ちた時期もコアユーザーのプレー時間や課金額はほとんど変わっていないんです。他社のゲームもそうでしょうが、売り上げに大きく影響するのは浮遊層ともいうべきミドルユーザー、ライトユーザーの動きと、新規ユーザーの獲得です。

 『モンスト』は好調な時期が長く、何らかの施策を打てばそれが響く状態がずっと続いていました。結果的にはこうした好調な時期に、浮遊層をコアなユーザーに転換できなかったこと、新規ユーザーの獲得が手薄だったことが現状の不振につながったと仮説を立てています。

 コアユーザーが高い収益をもたらしてくれるのは確かでも、中長期的に考えた場合はミドルユーザー、ライトユーザー、新規ユーザーに投資していかないと全体的なユーザー数減は避けられません。新規ユーザーの獲得を怠ると初心者が入りにくい状態が加速するという面もあります。言うのは簡単で当たり前のことですが、長期運営では意外と難しい問題なんです。

 今後、施策は全方位的に進めます。ただし、優先順位をつけて時期ごとに施策のターゲットを変え、1年を通したときにどんな層も楽しく遊べる状態をつくることを目指しています。

「19年4月から約1年をかけてマーケティングの戦略やそのための組織の見直しを進めてきた」という根本氏
「19年4月から約1年をかけてマーケティングの戦略やそのための組織の見直しを進めてきた」という根本氏

――モバイルゲームは長期間サービスが継続します。ジャンルの多様化など、市場変化への対応も必要です。

根本氏 『荒野行動』や『IdentityV 第五人格』(中国ネットイース)などの新たな流れには「お家芸を取られた」という感覚があります。13年に『モンスト』が出たときは、1人で隙間時間に遊ぶ非リアルタイム系のゲームが大半でした。そこに「友達と遊ぶ楽しさ」という視点を持ち込んだのが『モンスト』だったと自負しています。それが市場での優位性や差異化につながり、1カ月でユーザーが100万人以上増えるほどの大きな広がりを生んだわけです。

 しかし今や友達と遊べるのは当たり前です。『荒野行動』などは100人同時、クラス全員どころか学年全員とだって遊べます。その結果、「友達と遊ぶ楽しさ」という『モンスト』の強みが埋もれてしまった。こうした環境の変化も影響していると思います。

強みを再確認し新規ユーザー獲得を目指す

――そんな中、『モンスト』の強みを発揮するためにはどんなことが必要でしょう。

根本氏 小中学生を中心に初めて自分のスマートフォンを持つという人が毎年、何十万人といるわけですから、その人たちに「最初に遊ぶゲーム」としていかに『モンスト』を想起してもらうかですね。

 遊べば面白いと分かってもらえるのは、どんなゲームでも当然です。そのうえで、『モンスト』には6年続いてきた時間やIPの力があります。実際、ブランドイメージや認知の高さはリサーチの結果にも表れています。ただ、ここ2~3年はその強みを十分に生かせていなかった。原点に返り、「キャラクターを引っ張って弾き飛ばして遊ぶシンプルなゲーム性」や「友達と一緒にプレーして盛り上がる」面白さを改めて打ち出していきたいと思います。

 また、長く続いてきたからこそ、ユーザーの経験にリンクできるという強みもあると思っています。「お兄ちゃんやお姉ちゃん、お父さんが楽しそうに遊んでいたな」という記憶が、遊んでみたいという気持ちを後押ししてくれることもあるんじゃないでしょうか。