新型コロナ対策でテレワークに移行

――新型コロナウイルスの感染拡大は新社屋(横浜・みなとみらい)に本社を移転されたタイミングと重なりましたが、影響はありますか。

鯉沼氏 タイミングとして良かった面と残念だった面があります。残念だったのは新社屋に併設している「KT Zepp Yokohama」(低層部分にある大型音楽アリーナ、スタンディングで2000人を収容)で開催するはずだったイベントや公演などがキャンセルになって、それなりに赤字が出ていること。残念ながら、この問題は結構長引くでしょう。

 また、会社として緊急事態宣言に合わせた外出自粛を守るため、テレワークに対応しています。するとイベントだけでなくゲーム開発にも影響が出る可能性があるのです。海外スタジオに発注している物品やイラスト、ソフトなどには既に遅延が出ている部分がありますので、もう少したたないと見通しを出すのは難しいです。

 良かった面は、新社屋の完成でオフィスの床面積が単純に2倍になったことです。もともとは社員のほとんどを日吉の旧社屋から移動させる予定でしたが、現状、半分にとどめました。それで座席の間を1つずつ空け、千鳥格子状に配置することで、社員同士の距離を離したのです。ゲームの開発環境をリモートに転換する準備期間中は、しばらくこの形で業務をしていました。

――ゲーム開発でテレワークは難しいですか。

鯉沼氏 家庭用ゲームソフトの開発では難しい面がありましたが、テレワークに対応するという方針を固めた以上、従業員の出退勤に関する新ルールの策定、必要となる機材やソフトウエアの手配など、一つずつ対応を進めています。特に、ゲーム開発に必要なデータリソースの取り扱いについては、テレワークに対応した社内ガイドラインの策定を短期間で行う必要がありました。

――守秘義務がありますものね。

鯉沼氏 外部IPを取り扱いながら開発を進めているケースもありますので、情報の流出防止に最大限の注意を払わなければなりません。一つひとつ検証を重ねつつ、今後は自宅でできる仕事をさらに増やしていかないと、と考えています。

――20年度に向けての見通しは不良ですか。

鯉沼氏 そうですね。今期は未発表の家庭用ゲーム機向けソフトもいくつか用意していますので、それらを軸に昨期以上の成績を上げたいとは思っています。しかし、「オリンピックが1年延びるなんて、誰が考えられました?」という状況ですので、我々としては動向を見極めながら、どうやって成長曲線にもう一度持っていくかを必死に考える年になるでしょう。

コーエーテクモゲームス新社屋受付前にて
コーエーテクモゲームス新社屋受付前にて
鯉沼 久史(こいぬま ひさし)氏
1994年に東京電機大学を卒業、コーエー(現コーエーテクモゲームス)入社。「無双」シリーズを手掛ける開発チーム「ω-Force」にも所属。主にアクションゲームの制作に携わる。2006年に執行役員。08年に常務、11年に専務、13年に副社長、15年に社長就任。12年にはコーエーテクモホールディングスの取締役にも就任、18年より取締役副社長。千葉県出身

(写真/稲垣純也、写真提供/コーエーテクモゲームス)