――米国では中小企業向けスポンサー制度のベータ版を開始しています。店舗の裾野を大規模なチェーン店だけでなく、中小店舗にまで広げる狙いは何ですか?

村井氏 大企業だけでなく、個人レベルの店舗にも使ってもらってプラットフォームを盛り上げ、リアルとサービスの接点をつくるビジネスを活性化していけるのではないかと考えています。我々のプロダクトの強みは、プレーヤーの皆様とプラットフォームを作り上げること。実際、『Ingress』のポータルや『ポケモン GO』のポケストップなどは、我々が設置したのではなく、プレーヤーから「ここに来ると何かがある」というのを推薦してもらってデータベース化したものです。このデータベースを構築できたことが現在のナイアンティックの強みとなっているのです。

 今回の取り組みも、その発想と同じです。見つけ出すのが難しい場所に訪れる敷居を下げることで、世界中のスモールビジネスで頑張りたい人を応援できるプラットフォームに成長できると考えています。日本でも20年中には展開したいですね。

「人が動くことでリアル店舗における消費を呼び、商流を生む仕組みを作り上げることができた」と話す村井氏
「人が動くことでリアル店舗における消費を呼び、商流を生む仕組みを作り上げることができた」と話す村井氏

ゲームをもっと増やして地球上の総人口をカバー

――19年に配信を開始した『ハリーポッター:魔法同盟』の現状はいかがでしょうか?

村井氏 やはり英語圏での人気が高いですが、日本もそれに劣らない規模のプレーヤーがいます。毎月ゲーム内でイベントも実施していますし、このゲームを通じて外に出歩くようになったという声も聞いています。20年は『ポケモン GO』と同様の規模へ近づくために、何ができるのかというチャレンジになります。『Ingress』や『ポケモン GO』で培った技術やノウハウがあるので、それらを投入してもっと楽しい仕組み作りをし、日本の人の心をわしづかみにできるプロジェクトにしていきたいですね。

――『ハリーポッター:魔法同盟』の配信でゲームのラインアップが3つに増えましたが、今後も新しいゲームは積極的に増やしていくのでしょうか。

村井氏 我々はターゲットを地球規模で考えていて、地球の総人口75億人が我々のサービスを使って外に出てくれることが最高の結果につながると思っています。『ポケモン GO』が大成功して10億ダウンロードを超えたと言われても、75億に比べたらまだまだ小さい。

19年に配信を開始した『ハリーポッター:魔法同盟』。PORTKEY GAMES, WIZARDING WORLD, HARRY POTTER: WIZARDS UNITE, characters, names and related indicia (c) and TM Warner Bros. Entertainment Inc. Publishing Rights (c) J.K. Rowling. (c)Niantic,Inc. All Rights Reserved (s18)
19年に配信を開始した『ハリーポッター:魔法同盟』。PORTKEY GAMES, WIZARDING WORLD, HARRY POTTER: WIZARDS UNITE, characters, names and related indicia (c) and TM Warner Bros. Entertainment Inc. Publishing Rights (c) J.K. Rowling. (c)Niantic,Inc. All Rights Reserved (s18)

 それだけの数をカバーするに当たっては、「『ポケモン GO』はちょっと……」という人もいるかもしれませんし、そうした人の中には『Ingress』や『ハリーポッター:魔法同盟』をプレーしている人もいるでしょう。もちろんそうでない人もまだたくさんいると思うので、将来のリーチを広げるためにもチャレンジは止めません。新しいプロダクトも出していきたい。

 そのために日本にも18年に新しいゲームを開発する「Tokyo Studio」を設立しています。設立当初のメンバーは数名程度でしたが、その後着々と人数を増やしており、現在は多くの優秀なメンバーが集まって世界に新しいゲームを発信するチャレンジをしています。

――20年はどのような取り組みに力を入れていきますか。

村井氏 ナイアンティックは世界のARのリーディングカンパニーになりたいと考えています。これまでやってきたことはそこへ向けたステップだと考えています。20年はARの世界をより広げていくチャレンジをして、その世界観を多くの人に見せていきます。

村井説人 (Murai Setsuto)
Niantic(ナイアンティック)社長、米ナイアンティック副社長
1997年に成城大学卒業、同年に日本電信電話(NTT)に入社。2006年にGMOアドネットワークスへ入社、取締役として会社運営に従事する。その後は、Google マップのパートナーシップ日本統括部長として、その発展に貢献。15年にはAustralia/New Zealand Google Mapsのパートナーシップ業務の責任者となる。Google Crisis Response活動として東北復興などのさまざまな活動にチームの中核として貢献したほか、Google Art Projectの日本の代表者として、同プロジェクトの発展に大きく貢献した。
 15年12月、米ナイアンティック初の現地法人であるナイアンティック(日本法人)の社長に就任。日本市場における事業開発ならびにリアルワールドゲームの普及に努める。2019年より米ナイアンティックの副社長を兼任。

「東京ゲームショウ2020」公式サイトはこちら

(写真/菊地くらげ)