グローバル化は国ではなく言語単位で考える

――グローバル化に関してはどのような取り組みを?

宮河氏 国内市場に関しては「パイは広げて、比率は下げましょう」というのがあります。言ってしまうと、ワールドワイドの売り上げの中で市場全体が大きくなっていれば、その結果として日本の比率は下がってもいいんです。

 20年1月に発売した『ドラゴンボールZ KAKAROT』で言うと、日本語、英語をはじめ15言語で出していますが、約半数が英語でプレーしています。日本語でプレーしているのは約1割、アジアの各言語はそれ未満で、残りの4割弱はその他の言語(フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語、ブラジルポルトガル語、ニュートラルスペイン語、ロシア語、ポーランド語など)です。日本の相対的な比率は下がってもいいんですね。それよりたくさんの地域で遊んでもらうことが大事だと。

 もちろん国内の売り上げは成長させないといけませんが、もっと世界に目を向けて活動し、ワールドワイドでしめる日本の比率は下がってもいい。それが我々の考えるグローバル化です。

15言語でリリースされた2020年1月発売の『ドラゴンボールZ KAKAROT』。宮河氏は「ワールドワイドでしめる日本の比率は下がってもいい。たくさんの地域で遊んでもらうことが大事」だという。画面は上から日本語版、英語版、タイ語版
15言語でリリースされた2020年1月発売の『ドラゴンボールZ KAKAROT』。宮河氏は「ワールドワイドでしめる日本の比率は下がってもいい。たくさんの地域で遊んでもらうことが大事」だという。画面は上から日本語版、英語版、タイ語版

 さらにポイントになるのが、国単位ではなく言語単位でグローバル化を考えることです。米国だから英語っていう考え方ではダメ。米国にはスペイン語を母国語とする人もいれば、韓国語や中国語を使っている人たちもいます。フランスにだってスペイン語やほかの言語を使う人がいるわけです。そんな風に国境でグローバル化を意識せずに、言語単位で考え直すと世界地図は一変しますよ。

 パッケージの時代は、流通の関係もあり、「米国版はどうする」「フランス版はどうする」と、国で捉えることに意味がありました。でも、今はもうネットからダウンロードする時代。実店舗、つまりフィジカルな売り場よりネットで買う人が増えているわけですから、どの国にいても自分の言語のものをダウンロードすればいいんです。実際、ゲームのダウンロード販売に関しては、米国ではすでに半数を超えています。日本ではまだ割合としては低いですが、それもどんどん増えていくでしょう。

――どんどんインターネットにシフトしていくと。

宮河氏 とは言いつつ、実は僕、フィジカルマーケットっていうのも大事だなとも思っているんです。

――これからはゲームや映像のダウンロードをはじめとして、フィギュアなどもネットで買うのが主流になっていくのでは? そうした流れの中で、フィジカルマーケットの重要性というのはどういう意味合いがあるのでしょうか。

宮河氏 東京・お台場に「THE GUNDAM BASE TOKYO」というガンプラを主体にした総合施設があるんですが、ここでガンプラがすごく売れています。ネットを使えば割引価格で買える商品もあるのに、わざわざお台場まで足を運び、定価で買われるんですね。僕は、店舗に行くこと自体が消費者をワクワクさせるのではないかと思うんです。その場所に行くということ自体が楽しいから店舗に足を運んでくれる。そういう場をつくることが大事なのです。

 僕は「垂直立ち上げ」という言葉が嫌いなんです。何か新しいものを仕掛けるときに、あれもこれもと用意して売り出すやり方が好きになれない。

 あれもこれもではなく、最初は消費者の心に刺さるもの。それが絶対必要だと考えています。それがあるからこそ映像のファンもフィギュアが欲しくなり、ゲームにも興味を持つんじゃないかと。

 始まりはゲームでも映像でも何でもいい。フィギュアから始まってもいい。それが消費者の心に刺さるから人気が出て、さまざまなビジネスに広がっていく。そうなると、ネットでの割引価格などは関係なくなって、テーマパークに行くときのようにワクワクした気持ちでフィジカルマーケットを訪れて買ってくれるようになるんじゃないでしょうか。