星野リゾートが取り組みを始めた「スモールマスマーケティング」は、それほど大きくないが一定の規模がありつつ、何か特殊なニーズのある顧客層をターゲットとする戦略だ。代表の星野佳路氏は、日本国内の観光を支える市場は「団塊世代と若者だ」と明言する。

星野リゾート代表の星野佳路氏
星野リゾート代表の星野佳路氏
▼前回の記事はこちら 星野リゾートの“小さな”マスマーケ コロナ禍で狙う新たな顧客

団塊世代の旅行参加率を落とすな!

 日本は2022年の6月に外国人観光客の受け入れを再開したが、入国可能なのは旅行業者などの添乗員付きパッケージツアーに限られていた。22年9月7日から、添乗員の同行がないパッケージツアーについても受け入れを開始したが、新型コロナウイルス禍以前のような勢いが戻るのは当分先になりそうだ。しかも、定年後のセカンドライフとして、旅行を楽しんでいた団塊世代の高齢化も進む。国内の旅行市場を活性化するには、シニア世代の旅行参加率を維持していくことが重要だと、星野氏は考える。


星野佳路代表(以下、星野) コロナ禍以前の19年にはインバウンド(訪日外国人)が3000万人、消費額も4.8兆円に達しました。インバウンドは09年から10年間にわたってずっと伸びてきていますが、それにもかかわらず、14年と18年には、日本の旅行消費額がトータルで減少しています。理由は単純で、日本人の国内旅行消費額が減少したからです。

 観光庁の調査によると、日本人の国内旅行消費額は19年で22兆円。インバウンドの4.8兆円よりはるかに大きな金額が動いており、日本人の国内旅行消費額が少し減るだけで、インバウンドでの増加分など吹き飛んでしまいます。私はこうした、日本の旅行消費額がトータルで減少することが、25年以降は頻繁に起こると予想しています。なぜなら、25年には団塊世代がすべて75歳以上になるため、旅行参加率が必ず落ちていくからです。

 日本はインバウンドに関して、30年には3000万人の2倍の6000万人という目標を掲げています。しかし、たとえインバウンドが2倍になったとしても、団塊世代の旅行市場が小さくなれば、日本全体の旅行消費額のトータルは下がっていくかもしれません。これは国内旅行市場にとって、結構深刻な問題です。

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