新型コロナウイルス感染症の流行で、日本のみならず世界中の経済が大打撃を受けた中、星野リゾートは相次いで新規施設を開業した。そして盤石のブランド戦略を進化させるべく、新たに「サブブランドの自立」にも踏み出した。今回から星野リゾートの成長戦略を俯瞰(ふかん)しつつ、“第2章”ともいうべき「新ブランド戦略」についてお届けする。

星野リゾート代表の星野佳路氏
星野リゾート代表の星野佳路氏
星野 佳路(ほしの よしはる)氏
星野リゾート代表
1960年長野県軽井沢生まれ。慶應義塾大学経済学部を卒業後、米国コーネル大学ホテル経営大学院修士課程へ。同課程を修了し帰国後、91年に先代の跡を継いで星野温泉旅館(現星野リゾート)代表に就任。以後、経営破綻したリゾートホテルや温泉旅館の再生に取り組みつつ、「星のや」「界」「リゾナーレ」「OMO(おも)」「BEB(ベブ)」などの施設を運営する“リゾートの革命児”。2003年には国土交通省の観光カリスマに選出された

サブブランド自立の時期が来た

 星野リゾートは現在、「星野リゾート」という名のマスターブランドの下で、複数のサブブランドを展開している。そもそもの同社のブランド戦略について、いま一度おさらいをしてみよう。


星野佳路代表(以下、星野) ブランドづくりの戦略には、企業名のようなマスターブランドを軸に展開する「マスターブランド戦略」と、個々の商品やサービスなどを押し出す「個別ブランド戦略」があり、以前この連載で申し上げました通り、私は個別ブランド戦略が最終的には強いと思っています。

 個別ブランド戦略で成功している代表的な企業の1つが日本コカ・コーラ。同社の製品である「ジョージア」にしても「爽健美茶」にしても、ブランドとしては「コカ・コーラ」とはうたっていませんが、個々の商品がブランドとしてしっかり認知されています。同様にプロクター・アンド・ギャンブル社(P&G)でも、「ブラウン」や「パンパース」など、各ブランドが個別ブランドとして確立されています。

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