星野リゾート5つ目のサブブランドである「BEB(ベブ)」は、これまでの星野リゾートにはなかった「若者」をメインターゲットにした施設。とはいえ、現在は長野・軽井沢と茨城・土浦の2施設しかないため全体像がつかみづらいのも事実。そこで一体どのような施設を目指しているのか、BEBマーケティングユニットディレクターの鎌倉寛人氏に聞いた。

自転車がディスプレーされた「BEB5土浦」のエントランスは、一見、ホテルとは思えない空間
自転車がディスプレーされた「BEB5土浦」のエントランスは、一見、ホテルとは思えない空間

制約いらずでルーズに過ごせる気楽な宿

 2018年に誕生した「OMO(おも)」は都市観光、19年開業の「BEB」は若者と、近年の星野リゾートのサブブランドはターゲットをピンポイントに絞っている感がある。一部で若者の旅行離れも指摘される中、BEBは具体的にどのような戦略で若い層を呼び込もうと考えているのか。


鎌倉寛人氏(以下、鎌倉) 星野リゾートでは「BEB5軽井沢」の開業前に、20代と30代の男女に対して大規模なグループインタビューを実施しました。このインタビューを通じて分かったのが、仲間たちと日常的に居酒屋に集まって飲み会などは開催していても、いざ旅行となるとハードルの高さを感じている若者が多いことでした。お金がかかるとか、予約や出かけるのが面倒だとか、どこにハードルの高さを感じるかは人それぞれだと思いますが、旅とは気軽なものではなく、例えば両親や恋人のような、特別な時に特別な人と行くイメージで捉えていた人が多かったのです。

 また、宿での宿泊は窮屈だと感じている人が多いことも分かりました。従来のホテルでは食事の時間が決まっていて、それに合わせて行動しなければいけません。朝食の時間が決められていると寝坊もできないし、食事をする場所も決まっていて、他の見知らぬ宿泊客と一緒です。そういった点が窮屈だと。

BEBマーケティングユニットディレクターの鎌倉氏。BEB以外にも「サーフジャック ハワイ」と21年春に中国に開業した「嘉助天台」のサポートも行っている
BEBマーケティングユニットディレクターの鎌倉氏。BEB以外にも「サーフジャック ハワイ」と21年春に中国に開業した「嘉助天台」のサポートも行っている

 そこで、BEBでは「居酒屋以上 旅未満 みんなでルーズに過ごすホテル」というコンセプトを設定しました。普段は気の合う仲間たちと身近な場所で楽しんでいるけれど、たまにはすてきなことをしたい、でも旅はハードルが高い……。そう考えている人たちに対して“ちょっとした非日常”を提供する場所として、今までのホテルにはない体験を持ち帰っていただけたらという思いを込めたコンセプトです。

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