星野リゾートは2019年秋、「星のや」「リゾナーレ」「界」「OMO(おも)」に続き、若者向けのブランド「BEB(ベブ)」を立ち上げた。その2施設目として、20年10月に開業したのが「BEB5土浦」だ。特徴は“自転車を楽しむホテル”と振り切った点。生まれて間もないブランドのため試行錯誤もあるが、その分“どう化けるか”楽しみだ。

自らも自転車好きだと語るBEB5土浦の大庭祐太総支配人。手にした米スペシャライズドのe-Bike(電動スポーツ自転車)は館内でレンタル可能だ
自らも自転車好きだと語るBEB5土浦の大庭祐太総支配人。手にした米スペシャライズドのe-Bike(電動スポーツ自転車)は館内でレンタル可能だ

ペットならぬ愛車と宿泊を楽しむ

 「BEB5土浦」は星野リゾート初の駅ナカ施設。JR土浦駅の改札を抜ければ、ホテルのエントランスはすぐ目の前だ。自転車をテーマとし、ホテルの合言葉に「ハマる輪泊」を掲げている。

BBEB5土浦は駅直結という、都市部の宿泊施設としてはこの上ない好立地
BEB5土浦は駅直結という、都市部の宿泊施設としてはこの上ない好立地

 近年、官民一体となってサイクリング環境の整備を進めている茨城県は、「サイクリングの聖地」といわれつつある。その中心となるのが土浦や筑波エリアだ。2016年には旧筑波鉄道の廃線跡を利用したコースと、霞ケ浦を周回するコースの2つのサイクリングコースを合わせた、全長約180キロメートルの「つくば霞ケ浦りんりんロード」が誕生。琵琶湖を一周する「ビワイチ」、瀬戸内海を横断する「しまなみ海道サイクリングロード」と並び、国土交通省の選定する第1次ナショナルサイクルルートにも指定されている。

 起伏の多い琵琶湖やしまなみ海道とは異なり、関東平野にある筑波・霞ケ浦一帯のサイクリングコースは、ひたすら平たんな道が続くのが特徴だ。一方でヒルクライムを楽しみたければ、筑波山方面にはいくらでも山間コースがある。本格的なトレーニングにも、景色を眺めながらのサイクリングにも適したエリアと言える。土浦や筑波周辺にはサイクルショップも多く、各店が東京方面からユーザーを集め、サイクルツアーなどを楽しむ土壌があったようだ。

まさに自転車ファーストでつくられた、つくば霞ケ浦りんりんロード。かつてはここを電車が走っていた
まさに自転車ファーストでつくられた、つくば霞ケ浦りんりんロード。かつてはここを電車が走っていた

 つくば霞ケ浦りんりんロードの起点に当たるJR土浦駅に、20年3月にグランドオープンしたのが、サイクリングを楽しむためのベースキャンプとなる駅ビル「プレイアトレ土浦」。サイクルショップやメンテナンススペース、シャワー室、コインロッカーなどを備えた「りんりんスクエア土浦」をはじめ、カフェやレストラン、書店、コンビニ、ドラッグストアなどが入居し、館内への自転車の持ち込みもOKという、まさにサイクリストウエルカムの施設。BEB5土浦は、この駅ビルの3階の一部と4~5階を占める。

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