2006年に本格的に始まった北海道「星野リゾート リゾナーレトマム」の「雲海テラス」。早朝5時から8時までの営業にもかかわらず、今や1日に平均1000人もの人々が楽しむ星野リゾートを代表するヒットコンテンツだ。営業開始から15年の節目を迎えた21年には大規模リニューアルを実施、8月4日に営業が始まった。雲海テラスの進化は止まらない。

2021年8月4日にリニューアルオープンした、リゾナーレトマムの「雲海テラス」
2021年8月4日にリニューアルオープンした、リゾナーレトマムの「雲海テラス」

累計来場者数120万人突破のヒットコンテンツ

 リゾナーレトマムの「雲海テラス」は、毎日午前5時から8時(期間により異なる)までの“早朝コンテンツ”だ。雲海は気象条件が整った場合に発生するが、運が良ければ標高1088メートルの場所に設けられた展望デッキから、自然の織りなす壮大な芸術作品を見ることができる。

 トマムでは3種類の雲海が発生する。最もダイナミックなのが、北海道東部の太平洋で親潮と黒潮の衝突などによって発生した海霧が、日高山脈を越えてトマムに流れ込んでくる「太平洋産雲海」。そして、夜間の放射冷却によってトマム一帯の盆地に発生するのが、地場産ともいえる「トマム産雲海」。さらに、天気の悪い日に山に当たった空気が冷やされてできる「悪天候型雲海」だ。

雲海テラスからの眺め。雲が運河のように流れる太平洋産雲海は、海霧の量と強い風が発生の必須条件
雲海テラスからの眺め。雲が運河のように流れる太平洋産雲海は、海霧の量と程よい風が発生の必須条件

 雲海テラスの始まりは、ゴンドラやリフトの整備を行う索道チームのスタッフが、日ごろから山頂付近で目にしていた雲海を、宿泊客にも楽しんでもらいたいと思ったのがきっかけ。05年、ゴンドラ山頂駅に椅子とテーブルを置き、「山のテラス」としてトライアル営業をスタートさせた。来場者の評判も上々で、06年には「雲海テラス」に改名して小さなカフェもオープンし、本格的に営業を開始。結果、05年は年間900人だった来場者数が、翌年には10倍以上の1万人に増えた。ちなみに雲海テラスの名付け親は、星野リゾート代表の星野佳路氏だ。

地をはうようなトマム産雲海は前日が晴れで、夜に雲が出ず、当日に晴れれば発生確率は上がる
地をはうようなトマム産雲海は前日が晴れで、夜に雲が出ず、当日に晴れれば発生確率は上がる

 08年には初代展望デッキが完成し、20年秋には累計来場者数が120万人を突破した。増え続ける来場者への対応として、今回のリニューアルでは高さ12メートル、3階建ての展望デッキを新設。既存のものと合わせてデッキの数は4カ所になり、収容人数も雲海を見られるスポットも増えた。

リニューアルオープンした新生・雲海テラスは、1階が宙にせり出し、雲海をより近くで眺められるようになった
リニューアルオープンした新生・雲海テラスは、1階が宙にせり出し、雲海をより近くで眺められるようになった

 「リニューアルについては、デッキの使用年数がたっていたのと、年配のお客様が増えたので利便性を上げたい思いがありました。また、デッキが1つしかない時代は来場者があふれ、後方からだと雲海が見えづらかった。そこで、それこそ1000人が一度に見られるようにと計画を進めてきました」と星野リゾート トマムの渡辺巌総支配人は語る。

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