星野リゾートが顧客から支持される大きな理由の1つが、施設ごとに工夫を凝らした独自のアクティビティだ。現地のスタッフが地域に眠る有形・無形の“資産”を掘り起こし、魅力的なコンテンツに仕立て上げる。これから数回にわたり、持ち前の現場力を生かした星野リゾートの魅力開発の裏側について見ていく。第1回は、2021年7月に世界自然遺産に登録されて注目を浴びている西表島にある「星野リゾート 西表島ホテル」だ。

全139室の「星野リゾート 西表島ホテル」
全139室の「星野リゾート 西表島ホテル」

ホテルとして目指す新しいエコの形

 「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の構成資産として、2021年7月26日、国内5件目の世界自然遺産に登録された西表島。この島の北部に19年10月に開業した「星野リゾート 西表島ホテル」は、「イリオモテヤマネコが棲(す)む島のジャングルリゾート」がコンセプト。弓なりに延びるビーチ「月ヶ浜」に面して立つ、西表島最大のホテルだ。

西表島ホテルはロゴマークにイリオモテヤマネコのイラストを採用
西表島ホテルはロゴマークにイリオモテヤマネコのイラストを採用

 西表島ホテルは島の自然環境を保護し、持続可能な観光の仕組みをつくるため、21年から「エコツーリズムリゾート」を目指している。環境省の定義によると、エコツーリズムとは「地域ぐるみで自然環境や歴史文化など、地域固有の魅力を観光客に伝えることにより、その価値や大切さが理解され、保全につながっていくことを目指していく仕組み」のこと。日本でエコツーリズムを実践する地域や団体は多いが、宿泊施設として「エコツーリズムリゾート」を標榜するのは星野リゾートが初めてだ。

オーシャンフロントに立つホテルだけに、部屋の窓を開け放てば常に波音が室内を満たす
オーシャンフロントに立つホテルだけに、部屋の窓を開け放てば常に波音が室内を満たす

 このエコツーリズムリゾートを実現するに当たり、西表島ホテルでは以下の3つの活動を柱として掲げている。

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