星野リゾートが顧客から支持される大きな理由の1つが、施設ごとに工夫を凝らした独自のアクティビティだ。現地のスタッフが地域に眠る有形・無形の“資産”を掘り起こし、魅力的なコンテンツに仕立て上げる。これから数回にわたり、持ち前の現場力を生かした星野リゾートの魅力開発の裏側について見ていく。第1回は、2021年7月に世界自然遺産に登録されて注目を浴びている西表島にある「星野リゾート 西表島ホテル」だ。
【第25回】 “ご乱心”とささやかれた軽井沢時代 星野リゾートの組織論(2)
【第26回】 社名変更は新卒採用のためだった 星野リゾートの組織論(3)
【第27回】 社内の情報格差を排除 困るのは誰? 星野リゾートの組織論(4)
【第31回】 ネットが集客と予約の要に 星野リゾートのプロモーション(1)
【第32回】 実は広告は採算が合わない 星野リゾートのプロモーション(2)
【第33回】 なぜ広報に権限を委ねるのか 星野リゾートのプロモーション(3)
ホテルとして目指す新しいエコの形
「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」の構成資産として、2021年7月26日、国内5件目の世界自然遺産に登録された西表島。この島の北部に19年10月に開業した「星野リゾート 西表島ホテル」は、「イリオモテヤマネコが棲(す)む島のジャングルリゾート」がコンセプト。弓なりに延びるビーチ「月ヶ浜」に面して立つ、西表島最大のホテルだ。
西表島ホテルは島の自然環境を保護し、持続可能な観光の仕組みをつくるため、21年から「エコツーリズムリゾート」を目指している。環境省の定義によると、エコツーリズムとは「地域ぐるみで自然環境や歴史文化など、地域固有の魅力を観光客に伝えることにより、その価値や大切さが理解され、保全につながっていくことを目指していく仕組み」のこと。日本でエコツーリズムを実践する地域や団体は多いが、宿泊施設として「エコツーリズムリゾート」を標榜するのは星野リゾートが初めてだ。
このエコツーリズムリゾートを実現するに当たり、西表島ホテルでは以下の3つの活動を柱として掲げている。
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