前回に引き続き、星野リゾートの代名詞でもある「フラットな組織文化」の“体現者”たる社員の声をお届けする。今回は経営破綻をした施設から星野リゾートに入社した後、いくつかの施設の総支配人を歴任し、現在はマーケティンググループのディレクターを務めている櫻井潤氏だ。
ホテルの経営破綻に「やっぱりな…」
星野リゾートが初の再生案件として、2001年に再生に着手した「リゾナーレ八ヶ岳」。櫻井潤氏はこの施設の前身である「リゾナーレ小淵沢」に1996年に新卒で入社し、経営破綻当時は宴会部門のマネージャーを務めていた。星野佳路代表が「初めて会ったときは、斜に構えた様子で自分の説明を聞いていたのが印象的だったが、その後は再生プロジェクトに積極的に関わってくれた」という櫻井氏。当時、何を感じていたのだろうか。
櫻井潤氏(以下、櫻井) 私がいた頃のリゾナーレ小淵沢は、“ザ・ホテル”といった感じの古い体質のホテルでした。アシスタントマネージャー、マネージャー、課長、部長、副総支配人、総支配人という階層があり、総料理長や総支配人の力は強大。上層部に気に入られた社員たちだけが、能力の有無にかかわらず、業務でもポジションでもいい思いをするという職場でした。
そうした職場でも私は私なりに、お客様にどのようなサービスをしたらいいか、効率的に働くにはどうしたらいいかを考えていました。しかし、何か意見を言うと煙たがられてしまう。入社後5年もすると、この会社で働き続けるのも限界かと考え始めました。会社が経営破綻し、民事再生手続きに入ったのもその頃ですが、私としては「やっぱりな」という感じでした。
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