現在でこそ「フラットな組織文化」で成長を遂げている星野リゾートだが、もともとは軽井沢の歴史ある温泉旅館。星野佳路氏が4代目として旅館を継いだ当時は、フラットどころではなく、まず上下関係ありき、指示は全てトップダウンという古いしがらみに縛られていた。フラット化への道のりは、逆境の中で始まった。

星野リゾート代表の星野佳路氏
星野リゾート代表の星野佳路氏

ベースはアイスホッケーにあり

 米国の組織心理学者で経営コンサルタントのケン・ブランチャード氏に従い、星野氏は家業の温泉旅館を継いで以来、一人ひとりの社員の自律性を促すエンパワーメントに取り組んできた。そのために必要なフラットな組織の原点は、学生時代に熱中していたスポーツにあった。


星野佳路代表(以下、星野) 私は慶應義塾大学時代に体育会のアイスホッケー部で主将を務めていました。そのため、「強いチームとはどのようなチームなのか」を常に考えていました。私が組織心理学者であるケン・ブランチャード氏の理論に納得し、全面的に信頼するに至ったのは、その経験がベースにあったからだと思います。

 アイスホッケーの試合前には作戦を立てます。しかし、いったん試合が始まれば、相手も作戦を立てていますから、こちらの狙いどおりに展開が進むことなどまずありません。試合中は常に予想もしていない事態に直面します。指示を仰ごうにも監督はリンクの外にいて、スケート靴も履いていない。そもそも、指示を仰いでいる暇などありません。