コロナ禍で倒産に追い込まれるホテルや旅館が増えているなか、3密回避の徹底とマイクロツーリズムを提唱する星野リゾートは、2020年6月の県外移動自粛解除以降、各施設で次第に顧客を取り戻しつつある。同社のコロナ対策について、温泉旅館「星野リゾート 青森屋」の取り組みを紹介する。
【第6回】 「教科書」存在せず 星野リゾート・コロナ禍のマーケ思考(1)
【第7回】 提案、旅の新様式 星野リゾート・コロナ禍のマーケ思考(2)
【第8回】 顧客は戻る! 星野リゾート・コロナ禍のマーケ思考(3)
【第16回】 ビュッフェ再開への思い withコロナと星野リゾート(1)
【第17回】 スマホで回避、温泉の混雑 withコロナと星野リゾート(2)
【第18回】 県境ではなく商圏で考える withコロナと星野リゾート(3)
【第19回】 3密は回避、地元とは密に withコロナと星野リゾート(4)
【第20回】 現場の成功例、すぐ横展開 withコロナと星野リゾート(5)
【第21回】 今こそ「with地元」で乗り切る withコロナと星野リゾート(6)←今回はココ
現場でも生まれた「ニューノーマル」
青森県三沢市にある「星野リゾート 青森屋」は、「星のや」「リゾナーレ」「界」「OMO(おも)」「BEB(ベブ)」など、星野リゾートが展開するサブブランドからは独立し、独自のスタイルで運営されている施設だ。コンセプトは「のれそれ青森~ひとものがたり~」。「のれそれ」とは青森の方言で、「目いっぱい」「思い切り」という意味だ。
青森屋は「祭り」をテーマとし、ねぶた祭をはじめとする郷土の祭り装飾が館内を彩る。さらに津軽三味線やスタッフによる青森四大祭りのショーなど、青森文化を伝えるサービスやコンテンツが大きな売りとなっている。祭りという郷土色の濃いテーマを大切にしていることもあってか、各施設で地域らしさを打ち出す星野リゾートの中でも、とりわけご当地らしさが感じられる施設だ。
ところが新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ点では、この「祭り」が大きなネックとなった。言うまでもなく、クラスター発生のリスクが高いためだ。他の施設同様、青森屋でも検温や手指の消毒、マスク着用、飛沫感染防止フィルム、新ノーマルビュッフェ、ネットを活用した大浴場の混雑の可視化といった3密対策は徹底している。2020年4月には送迎バス、5月にはショーを中止にした。さらに「『祭り』という言葉も使わないようにしました」と話すのは、青森屋の岡本真吾総支配人。
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