建築家の東利恵氏(東環境・建築研究所代表)は、星野リゾート代表の星野佳路氏と留学先の米国で出会い、現在、「星のや」の設計・デザインを一手に引き受ける。かつての同級生は、いまや建築のプロ、リゾート運営のプロとして、遠慮のない意見をぶつけあう仲だ。
【第10回】 「星野流デザイン」の源流 星野リゾートのデザイン戦略(2)
【第11回】 クリエイターとやり合う日々 星野リゾートのデザイン戦略(3)
【第12回】 最新こそ最良であるべきだ 星野リゾートのデザイン戦略(4)
【第13回】 「西洋文化にこびないで」 星野リゾート、建築家の視点(1)
良いチームに遠慮は無用
住宅でも公共建築でも、建物が評判になるときにクローズアップされるのは、設計者である建築家だ。だが、一般的に建築とはチームでつくるものというのが東氏の意見。もちろん単に人が寄り集まるだけではない。何でも議論できる関係があって、初めていいチームが出来上がる。
東利恵氏(以下、東) 住宅の仕事では、基本的に依頼主から与えられた条件の下で設計することが多いのですが、星野さんとの仕事は「一から一緒に考えてつくっていきましょう」という感じです。それはランドスケープアーキテクトの長谷川浩己さん(オンサイト計画設計事務所代表)が参加してからも変わりません。ランドスケープは建築の下請け的な関係で参加するケースがよくありますが、星野さんは施主、建築家、ランドスケープアーキテクトの3人が同等というスタンスです。
議論するときはお互いの意見をはっきり言うことが多いですね。一度、私の事務所で星野さんとの打ち合わせを終えた後、アルバイトの学生から「いい設計をするには、けんかをするくらいでないといけないんですね」と言われたほどです。もちろん私たちにとってはけんかではなく、それだけ議論が白熱していただけなのですが。
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