軽井沢の温泉旅館からスタートし、今や国内外で多彩な施設を運営するまでに成長した星野リゾート。その施設はどれも地域の個性を反映した独特なデザインで顧客の心を引きつける。2020年中も新施設の開業を控えるが、代表の星野佳路氏は全ブランドで「既存の施設を超えるものをつくる」と意気込む。
デザインで一番のこだわりは「進化」
人はまだ見ぬ風景や未体験の文化を求めて旅をする。その願いをかなえるためには、施設に地域の個性を反映させ、なおかつ「既存の施設を超えるものをつくらねばならない」と星野氏。その実現に向け、時には設計を白紙に戻し、コンセプトを見直すこともある。成功例が「星のや富士」だ。
星野佳路代表(以下、星野) 星野リゾートでは再生案件が多かった昔に比べて、最近は新築案件が増えています。例えば「界」だけでも、栃木県の「界 鬼怒川(2015年)」、長野県の「界 アルプス(17年)」、静岡県の「界 アンジン(17年)」、山口県の「界 長門(20年)」、大分県の「界 別府(21年開業予定)」、鹿児島県の「界 霧島(21年開業予定)」などは新築です。再生案件は旧耐震基準の問題があるものが多いため、どうしても壊さざるを得ません。それが新築案件が増えている理由の1つです。
「軽井沢ホテルブレストンコート」の改築から始まり、「星のや軽井沢」を最初の新築案件としてスタートしてから20年以上たった今、ブランドごとにクリエイターのチームが組まれるようになりました。界には複数のチームがありますが、私はどのチームで取り組むかを確認するくらいで、それ以外はあまり関わっていません。チームさえつくってしまえば、後は各現場の担当者がクリエイターたちに力を発揮してもらえるような仕組みを確立できたからです。私はどちらかと言えばマーケティング側の人間なので、新築案件の場合は、むしろ施設をどのようなコンセプトで訴求していくかに注力します。
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