いいデザインを生むには施主と、デザイナーや建築家との関係は“フラット”であるべしと、星野リゾート代表の星野佳路氏は明言する。現在、ブランドごとにクリエイターのチームを抱える星野リゾートにおいて、最初のチームができたのは、星野氏が実家の星野温泉旅館を継いだ当時にさかのぼる。

星野リゾート代表の星野佳路氏
星野リゾート代表の星野佳路氏

リゾートはランドスケープデザインが命

 「自分はデザインに関しては全くの素人」とは星野氏の弁。そんな星野氏を助け、現在の星野リゾートの施設デザインの根幹をつくり上げたのが、建築家の東利恵氏(東環境・建築研究所代表)と、ランドスケープアーキテクトの長谷川浩己氏(オンサイト計画設計事務所代表)だ。星野氏が星野温泉旅館を継いだ当時から関わってきたこの2人のクリエイターに、星野氏は絶大な信頼を寄せている。


星野佳路代表(以下、星野) 東さんとは米コーネル大学時代に、インテンシブ・イングリッシュ・プログラムで出会いました。私はホテルスクールに在籍していて、彼女は建築学科。学校から自分の部屋に帰る途中、建築学科の建物の前を通るのですが、大抵夜の11時でも煌々(こうこう)と明かりがついていました。だからちょくちょく顔を出しては、東さんと2人でピザを注文して食べたものです。その頃から東さんは、教授とかんかんがくがくの議論を繰り広げていました。

 東さんに初めて星野リゾートの仕事をお願いしたのは、私が星野温泉旅館を継いだときです。軽井沢の星野エリアにある結婚式場「軽井沢ホテルブレストンコート」の、ちょっとした改装でした。その後、星野温泉旅館の改築と、日帰り温泉施設の「トンボの湯」を整備するプロジェクトに関わってもらいました。

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