現在、日本内外で42の施設を運営する星野リゾート。各施設は斬新なコンセプトはもとより、デザインにも定評がある。そこには星野佳路代表のどのような戦略があるのか。4回にわたり、星野リゾートのデザイン戦略をひもといていく。
施設のデザインには地域の個性を反映させる
日本有数の別荘地に位置する「星のや軽井沢」、離島の集落に違和感なく溶け込む「星のや竹富島」をはじめ、雄大な自然に囲まれたリゾートホテル「リゾナーレ」、和の情緒あふれる温泉旅館「界」、都市観光ホテルの「OMO(おも)」、ルーズに過ごすホテル「BEB(ベブ)」など、星野リゾートが運営する施設は多彩だ。それらはどのようなデザイン戦略に基づいて、展開されているのだろうか。
星野佳路代表(以下、星野) 私たちは「星のや」「リゾナーレ」「界」「OMO」「BEB」など複数のサブブランドを展開していますが、新施設のデザインを考えるに当たっては、“ブランド”にはあまり縛られていません(関連記事「ブランドの正体は情報の束 星野リゾートのブランド戦略(3)」)。ブランドを意識するとしたら、例えば“現代を休む”をテーマとする星のやでは非日常の度合いを指標にし、“王道なのに、あたらしい。”をテーマとする界では、日本の新しい温泉旅館の姿を指標にする。そのように各ブランドのテーマに基づく指標は意識するものの、そこに統一されたデザインコンセプトはないのです。
そのため新施設のデザインを考えるときは、まず各施設のコンセプトづくりから始めます。その際、個々の施設の特徴やセールスポイント、テーマを明確にすることと、何より重視するのは「地域の個性をいかに反映させるか」という点です。それが星野リゾートの考え方です。
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