都市型ホテル「OMO(おも)」、若者狙いの「BEB(ベブ)」と新ブランドを続々と立ち上げた星野リゾート。ニーズを確信したが故の新ブランド展開は星野佳路代表が描くマーケティング戦略の具現化に他ならない。マスターとサブの両輪で“星野ブランド”を強固なものとし、海外進出も視野に捉える。

星野リゾート代表の星野佳路氏
星野リゾート代表の星野佳路氏

サブブランド創出はターゲットとニーズで決まる

 星野リゾートが2018年から展開を始めた「OMO」ブランドは都市への観光客、一方、19年に開業した「BEB」ブランドは若者を対象にした、新たなスタイルの宿泊施設。ターゲットをピンポイントで設定した施設の登場は、旅行者の嗜好がいかに多様化しているかを物語る。新たなブランドの挑戦は始まったばかりだが、「ニーズは十分にある」と星野氏は自信を持つ。


星野佳路代表(以下、星野) 2018年に展開を始めた「OMO」ブランドは、「リゾナーレ」や「界」とは全く異なる都市観光ホテルです。実は温泉地よりも都市に来る観光客のほうが圧倒的に多く、マーケットも非常に大きい。星野リゾートが都市に進出するなら、ビジネスホテルではなく、観光客をターゲットにした新しいホテルをつくろうと考えました。既存のホテルや星野リゾートの他のサブブランドとも差別化が可能で、ニーズがあれば全国展開できる。

 都市への進出は以前から考えていて、チャンスをうかがっていたところ、ちょうどいいタイミングで話をいただいたのが大塚。土地のオーナーから、ビルを建ててホテルをつくりたいが、面白いものをやりたいと依頼を受けました。大塚はビジネス客を集めるには不利な立地なので、都市観光客だけをターゲットにするという私たちのコンセプトを伝えました。そこに共感していただいて誕生したのが「OMO5東京大塚」です。20年4月現在稼働しているOMOは、大塚と旭川の2カ所ですが、実は話をいただいている案件の数は一番多い。複数案件が進んでいる「界」に追いつきそうなほどです。地方都市はやはり悩んでいる。だからニーズは十分あると実感しています。

 一方、星野リゾートとしては20代をターゲットにできていないという悩みがありました。市場全体として20代の旅行への参加率が落ちています。彼らは10年後の30代、20年後の40代ですから、今の20代は大事。団塊世代の旅行参加率が落ちていくこれからの時代に支えてほしい世代なのに、その世代が旅行をしないのはまずい。どうしたら20代の人に旅行をしてもらえるかというのは、私たちにとって大きな研究テーマです。

 若い人たちに早く星野リゾートのファンになっていただき、結婚したら「リゾナーレ」、将来的には「星のや」や「界」にいらしていただきたい。そうした長期的な戦略の中で生まれたブランドが「BEB」です。