真の狙いは「母親」

 もちろん若者層を意識した新アトラクションも登場させる予定はある。しかしながらその実、今回のリニューアルにおける“本当”の重点ターゲットは、「母親」だ。「実現したいのは、遊びにこられたお母さんが、『今日はいい母親になれた』と実感できるパークなのです」と森岡氏は理想を明かす。「『自分は、やっぱり幸せなんだ』と思えれば、明日への活力も湧く。これこそが真に提供すべき価値だと考えます」。

 母親の心をつかむために、深層心理に関する調査・探究も綿密に重ねた。一例を挙げれば「カギ刺激」。ある感情や記憶を呼び起こすカギとなる刺激のことで、幼少期の原体験とひも付いていることが多い。「幸福感」で言えば、親に守られた幼少時代、何も考えずに「この世界って幸せだな」と思えた体験がそれに当たる。新生パークには、懐かしさは引き金として、感動を発生する装置を満たす予定だ。

 「テーマパークは東京ディズニーリゾート(TDR)やUSJばかりではない。西武園ゆうえんちが持続可能な事業として再生できれば、日本各地の同様の施設にも勇気を与えられるはず」と森岡氏は意気込む。西武線沿線のみならず、関東一円からやインバウンドの集客も狙うプロジェクト。既存・新設を問わず、地方のテーマパークの可能性を示す試金石となる。

■西武グループ×「刀」のコラボ
西武グループのチームと刀のチームが一体となって綿密に協議を重ね、プロジェクトを推進している。写真は実務担当者の会議
西武グループのチームと刀のチームが一体となって綿密に協議を重ね、プロジェクトを推進している。写真は実務担当者の会議
リニューアル前
空中ブランコやメリーゴーラウンドなど懐かしいアトラクションも健在だ
空中ブランコやメリーゴーラウンドなど懐かしいアトラクションも健在だ
自然と緑に囲まれた、敷地約20万平方メートルのパーク
自然と緑に囲まれた、敷地約20万平方メートルのパーク
古さを懐かしさに昇華する西武園ゆうえんち、新たな顔は「幸福感」(画像)
2021年リニューアル開業イメージ
日本が希望に満ちあふれていた1960年代をモチーフに、温かい幸福感を提供する。人情味あふれる接客も仕掛けの大きなカギに
日本が希望に満ちあふれていた1960年代をモチーフに、温かい幸福感を提供する。人情味あふれる接客も仕掛けの大きなカギに