クールジャパンパークを各地に

 切り口や文脈を積み重ねることで、テーマパークは多彩な個性を見せる。USJでは複数のコンテンツを組み合わせて、若者たちが「ワンダメント(感動)」と「エキサイトメント(興奮)」を体感できるテーマパークに育てた。ネスタリゾート神戸は大自然を堪能できるのが強みであり、沖縄に構想中の施設は大自然の恵みとゴージャスな体験を同時に味わえる予定だ。また西武園ゆうえんちは、古き良き日本の情感に包まれる施設へと改良する。

 「私の計算では極論、大別して5パターンほどを用意できれば、全国どこでも、その土地の特徴に合わせたテーマパークをつくれると思います。何(WHAT)を体感できるかについては、テーマパークの場合、興奮や心温まる幸福感など数が限られています。しかし、いかに(HOW)に関しては無限大。各地の事情に合わせて、施設ごとの差別化は必ず図れるでしょう」と森岡氏。

 実際のところ、森岡氏は日本文化を発信するクールジャパンパークを各地に誕生させるという壮大な計画を温めている。「そうなれば、インバウンドの目的地は分散し、都市から地方各地への人の流れも生まれる。日本全体が元気になることは間違いありません」。つまり現在公表しているプロジェクトの数々は、まだ序章にすぎないのだ。

 「私は常に未来から逆算して戦略を立てます。今、取り組んでいる事業のすべては、次にすべきことの布石なのです。どういう順にカードを切れば階段が上りやすくなるかを考慮しながら、事業を展開しています」

 「ゴールから考える」型の戦略家である森岡氏にとって、全国各地のテーマパークによって地方創生を推進することは、「夢」ではなくて、あくまでも具体的な「ステップ」である。彼の頭の中には、まだ誰も想像し得ない未来の日本の姿が鮮明に映し出されている。

エンタメ集客施設“必勝モデル”
USJ
(大阪市。2010~17年1月在職)
ハリウッド映画関連のコンテンツの枠を取り払い、「ハリー・ポッター」の他、「ONE PIECE」「モンスターハンター」など日本の多様なコンテンツを組み合わせて集客力を上げた
西武園ゆうえんち
(埼玉県所沢市。2021年にリニューアル開園予定)
1960年代の「古き良き日本」の心温まる幸福感を打ち出し、関東一円およびインバウンドの集客を狙う
ネスタリゾート神戸
(兵庫県三木市。2018年夏以降、順次強化)
「大自然の冒険テーマパーク」をコンセプトに設定し、関西から集客
沖縄の新テーマパーク
(沖縄県今帰仁村。2024~25年開業予定)
「やんばるの森」を生かした大自然の“プレミアムな刺激”で、国内とアジアの富裕層をコアに狙う

新!「日本発」クールジャパンパーク
コンテンツを盛り込んだ、クールジャパンのテーマパークを日本だけでなく、世界に輸出する

第2回「古さを懐かしさに昇華する西武園ゆうえんち、新たな顔は『幸福感』」に続きます(第1回と同日公開)。

(写真/髙山 透、水野浩志)