「小さく生んで大きく育てる」が成功の秘訣

 現実問題としては、高度経済成長期からバブル期にかけて建設された遊園地やテーマパークが、2000年代に入って数多く廃業しているのは事実だ。森岡氏もテーマパークが「難易度が高い事業」であることは熟知している。しかし自信はある。「正しいマーケティングを駆使すれば、成功する確率は飛躍的に上げられます」。米国ではテーマパークが投資産業と見なされており、「不安が残る日本の現状を変えていきたい」と意気込む。

 テーマパークを成功させるには、かつてのハコモノ行政のように「大型の施設を建てる必要は無い」とも森岡氏は明言する。「大事なのは、小さく生んで大きく育てること。人が年にどのくらいの時間をレジャーに費やし、その中で特定のテーマパークを選ぶ確率はどれくらいか。個々のデータを見極めて、投資計画を立てれば、事業は持続できます。逆に最初に大きく生んでしまうと、それ以上育てることが非常に難しくなる。多くの施設の失敗パターンが、これに当てはまります。必要なのは、正確な需要予測。当たり前のことですが、需要より大きく投資することが失敗の本質です」。

 無駄な投資をしないための秘訣は、テーマパークに関する情報を語るときの「文脈」を正しく設定して、「そこでなければ味わえない顔、すなわちブランドの際立った特徴をつくり上げることです」と森岡氏は説く。飲食店の例になるが、丸亀製麺との協業では、全店で麺を粉から作っているという事実に、「だから、いつも出来たてでおいしい一杯が食べられる」という価値を付加して、消費者のうどんへの嗜好を引き出した。「人は文脈次第で、ものの見え方や感じ方が変わる」が森岡氏の持論であり、さらには「信念を持って物事を見つめれば、必ずその特徴を生かせる文脈を見つけ出すことができます」と断言する。