米アマゾン・ドット・コムは10.1インチのフルHDディスプレーを搭載するタブレット「Fire HD 10」と「Fire HD 10 Plus」の新モデルを、2021年5月26日に発売した。専用Bluetoothキーボードを装着すると、ノートPCのような使い方もできるようになった。ビジネスパーソンのテレワークツールとして選択肢に入るデバイスなのか、iPadと使い勝手を比較しながら検証した。
とにかく安いAmazonのFireタブレットシリーズ
Fireタブレットシリーズはアマゾンオリジナルのタブレットとして、現在は7インチ、8インチ、10インチと3つの大きさを展開している。各サイズのラインアップともに時代の流行を取り入れながら着実に進化を続けてきた。最大サイズのFire HD 10は、2021年で第11世代になる。新製品は約2年ぶりだ。前世代機との大きな違いはプロセッサーとRAMの強化、および本体の薄型・軽量化を果たしたことだ。
アマゾンのタブレットが注目を浴びる最大の理由は、何といっても価格が驚くほど安いことだろう。今回、スタンダードタイプのFire HD 10だと、内蔵ストレージ32GBのモデルの価格は1万5980円(税込み、以下同)。RAMを4GB(Fire HD 10は3GB)に強化してワイヤレス充電機能を備えた、上位モデルのFire HD 10 Plusは3000円アップの1万8980円で購入できる。
アマゾンのタブレットユーザーの中には、Kindleアプリで電子書籍を読むための端末として安価なFire HDを利用している人が大勢いる。3万円台で買えるiPadのスタンダードモデルよりも安価なので、子供や高齢の家族に「初めてのタブレット」としてプレゼントしたという声も聞く。
アマゾン独自のFire OSで動く
アマゾンのFireタブレットを購入する前に心得ておくことがある。それは、すべての機種のOSが独自の「Fire OS」である点だ。
Fire OSはグーグルのAndroid OSを下地に、アマゾンが独自のサービスやAI(人工知能)アシスタントのAlexa(アレクサ)を使いやすくするために開発された。そのため使い勝手はAndroid OSによく似ているが、グーグルのサービスやアプリとの間の互換性は、必ずしも確保されていない。例えばGmailはFire OS用のアプリが提供されていないため、他のメールアプリにユーザーのGmailアカウントを登録して使うことになる。
何より多くのユーザーが戸惑うポイントは、FireタブレットでGoogle Playストアが利用できないことだろう。代わりにAmazonアプリストアが標準インストールされているが、アップルやグーグルのサービスに比べるとアプリの充実度はやはり劣る。
新しいFire HD 10シリーズの魅力を感じるのは、最大64GBまでの内蔵ストレージの容量を、外部ストレージとしてmicroSDカードを併用することで拡張できる点だ。スマホやデジタルカメラで撮影した画像をmicroSDカードに読み込んで、フォトビューワーとして簡単に楽しめる。デジタル機器にあまり慣れていない人なら、パソコンを介してタブレットに画像ファイルを転送するよりも、SDカードから読み込むほうが簡単だろう。
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