ユニークな動画で親にリーチ

 「ハシレ!エンピツケズリ!」の実勢価格は2700円前後。手回し式の鉛筆削りは1500~2000円がボリュームゾーンでそれよりやや高価だが、プラスによると想定以上のペースで売れていて、増産をかけている状態だという。

 開発のきっかけを、プラス ステーショナリーカンパニー 製品クリエイティブ本部の本木礼夫冴氏は「車を眺めているときに、このタイヤの回転を使って鉛筆を削れないかと考えた。子供の頃、一般的な手回し式の鉛筆削りはハンドルが回しにくく、苦手だった。車の形をした鉛筆削りなら、手でがっちりつかんで体全体で動かすことで、子供でも楽に楽しく削れると思った」と話す。

 車型にするのなら、子供に人気がありそうなパトカーや消防車にしてもよさそうなものだが、シンプルなスポーツカーのようなデザインにした。この形にしたのは実用性を追求し、おもちゃだと思われたくなかったからだ。

 「おもちゃだと思われるのは嫌だった。鉛筆削りとしての機能をおまけにしたくなかった。そのため過度なデザインはやめてシンプルな形にした。すでに市場にある何かをモチーフにするのではなく、子供が好きな“速さ”と“未来的”という2つのコンセプトに肉付けするデザインにした」(本木氏)

子供が好きな“速さ”と“未来的”をコンセプトにしたというデザイン。握りやすい実用性も備えている
子供が好きな“速さ”と“未来的”をコンセプトにしたというデザイン。握りやすい実用性も備えている

 製品のターゲットは、幼稚園年長組から小学3年生ぐらいまでの男の子。そうした子供の祖父母や両親からの入学祝い需要などを狙っている。プロモーションについてはSNSでの拡散を意識した動画を作成し、実質的な購買層となる子供たちの両親への訴求を図った。新車発表会のような雰囲気で製品を紹介するユニークな動画で、再生回数は約1カ月で1万2000回を超えた。プラスの製品では非常に多い再生回数だという。

 プラス ステーショナリーカンパニー コミュニケーション本部の野場由喜子課長は、「買う人と使う人が違う商品なので、買ってくれる人にリーチするためのプロモーションを考えた。動画自体が話題になり、車がフックになることを狙った」と語る。実際に、車好きの父親が購入して子供にプレゼントするといったケースも多いという。

 プラスの文具はオフィス向けのものが中心だが、ペーパーレス化やコロナ禍によりオフィス向け文具の需要は減少傾向にある。そこで今後は児童向け文具の市場にも力を入れていきたい考えだ。「プラスらしいデザインと機能性を持つ児童向け文具としてポジションを作っていきたい」(野場氏)という。出だし好調の「ハシレ!エンピツケズリ!」はその狙い通りの製品と言えそうだ。

(写真/スタジオキャスパー)