コロナ禍で健康への関心が高まる中、運動量や体の状態を把握できる、スマートウオッチや活動量計といった腕時計型ウエアラブルデバイスの需要が伸びている。米アップルの「Apple Watch」シリーズや米Fitbitの製品などが人気だが、他にない特徴を持つのが米国のスタートアップHEALBE(ヒルビー)が開発した「GoBe3」だ。腕に装着するだけで摂取カロリーや体内の水分バランス、ストレスレベルが分かるのが特徴で、より踏み込んだ健康管理に役立つ。
より踏み込んだ健康管理に役立つ活動量計
活動量計は、搭載するさまざまなセンサーにより運動量や体の状態を把握できる機器だ。腕時計型が多く、消費カロリー、歩数と移動距離、睡眠の質、睡眠時間などが分かる。心拍数の測定やGPS(全地球測位システム)により移動したルートが分かる製品も多い。
「GoBe3」の特徴の1つは、こうした項目の測定に加え、摂取カロリーを自動測定してくれることだ。これまで摂取カロリーを把握できる活動量計はなかった。食事内容を記録して手動でカロリー計算するのも面倒だ。GoBe3を使うとそれを自動で測定してスマートフォンに記録でき、ダイエットの体重管理に役立てられる。
食事をすると、食物を消化して栄養素を吸収する際に血糖値の上昇や、細胞のグルコース吸収、細胞内液の排出といった反応が起きる。GoBe3は独自の生体インピーダンスセンサーで肌を通して信号を送り、細胞内液の排出レベルを計測し、特許を持つテクノロジーを組み合わせて摂取カロリーを算出している。
その他体内の水分バランス、ストレスレベルも分かり、一般的な活動量計より踏み込んだ健康管理に役立つ。IP68の防じん・防水にも対応。日本では体験型ストア「b8ta(ベータ) Tokyo」に展示され注目を集め、2020年10月に発売された。3色のカラーバリエーションがあり、希望小売価格は税込み2万9700円だ。
装着感は快適、操作はシンプル
手首に装着してまず感じるのは、コンパクトで軽く、装着感が良いことだ。幅は35ミリと細く、重さはバンド込みで50グラムと軽い。バンドは柔らかい樹脂製で、長時間装着しても不快感はあまりない。睡眠を測定するには装着したまま就寝する必要があるし、店頭で試すときにもまず気になる部分なので、装着感はおろそかにできない。
操作方法はシンプルで分かりやすい。ボタンはなく、タッチ式のディスプレーで操作する。ディスプレーを長押しするとライトが点灯して操作できる状態になり、左右にスワイプすれば摂取カロリーから消費カロリーを差し引いたエネルギーバランス、体内の水分バランス、ストレスレベル、睡眠、脈拍、歩数・移動距離など、表示が切り替わる。使用中は肌と密着していないとセンサーで測定できない。接触状態が悪くなると、バイブレーションで教えてくれる。
エネルギーバランスで体重を管理
エネルギーバランス、水分バランス、ストレスレベルなどの詳細な情報はスマホにインストールした専用アプリで確認できる。
目玉機能である摂取カロリーの測定だが、これは消化・吸収する際の細胞の変動を測定するため、食べた直後は分からない。食事内容や体調にもよるが、食後およそ30分から数時間で変化が表れてくる。摂取カロリーと消費カロリーを差し引きしたエネルギーバランスがマイナスになるよう心がけることで、体重管理に役立つ。
1カ月ほど使用してみたが、エネルギーバランスがほぼ横ばいかややマイナスになるように心がけたところ、実際の体重もほぼ横ばいで推移した。摂取カロリーの測定とエネルギーバランスの計算はおおむね正確と言えそうだ。
面白いのは脂肪、炭水化物、タンパク質の割合も分かること。“炭水化物をとりすぎているようだから、次の食事では少し控えよう”といった気づきが得られる。
ストレスレベルも計測、生活習慣の見直しに
水分不足と判断されると、水分を補給するよう促してくれる。水分バランスもグラフで示してくれる。水分不足になりやすい時間帯を把握できるので、その時間帯に水を飲むようにするなど水分補給の目安になる。夏はもちろん、冬など水分不足に気づきにくい季節の体調不良を予防するのに役立ちそうだ。
その他ストレスレベルや睡眠データ、脈拍数もグラフで表示される。例えば自分がどんなときにストレスを感じるのかを把握できれば、ストレスをなるべく減らすように行動や生活習慣などを考えるきっかけにできそうだ。
活動量計はスポーツやアウトドア向きの製品が多いが、「GoBe3」は摂取カロリーや水分バランスなどを測定することで、体調管理に役立てることを狙った製品だ。摂取カロリーを自動測定してカロリーバランスを簡単に把握できるのは大きな特長で、シンプルで操作が分かりやすいのも魅力と言える。
ダイエットなどで体重を気にしている人はもちろん、活動量計による健康管理に興味がある初心者層にアピールができれば、さらに人気を呼びそうだ。特にストレスレベルのチェックなど、コロナ禍で在宅勤務が長引き、運動不足や健康管理に不安を感じているビジネスパーソンにも役立つに違いない。
(写真/スタジオキャスパー)