売りたいように売れない、コロナ禍ならではの悩み

 順調な立ち上がりを見せたサバティカルだが、想定を上回る需要に対して供給が追い付かない状況が続いている。在庫がないため店頭に商品を並べることができず、購入者のほとんどが、実物を見ずにWebでの抽選販売に応募しているのが現状だ。

 「今は初年度の3倍の量を発注しているが、全然間に合っていない。本当はもっと生産数を増やしたいのだが、工場の生産が追い付いておらず、これ以上作れないから歯がゆい」(吉野氏)

 コロナ禍にあっても、キャンプに対するニーズの高さは日本に限らず、世界でも同じような状況だ。サバティカルの製品を製造している中国の工場では、他のブランドのテントも作っているため、今以上の生産数を確保するのが難しいという。

使用人数に合わせて、2人用・5人用のインナーテントがセットになった革新的なモデル「ギリア(4万3780円)」。ファーストテントとして人気
使用人数に合わせて、2人用・5人用のインナーテントがセットになった革新的なモデル「ギリア(4万3780円)」。ファーストテントとして人気

 また、本来であれば実物を見て触ってもらい、そのクオリティーと価格に納得して買ってもらいたいが、そうもいかない。

 「店頭に展示すれば人が集まってしまい、密を作ってしまう恐れもある。抽選販売が一番いい手法とは思っていないが、公平性を考えると現状はこれ以外の方法はないというのが本音。需要は徐々に落ち着いてくると見立てていたが、日がたつにつれて応募数も増えてきており、お客様には迷惑を掛けてしまっている」と、吉野氏は苦しい胸の内を明かす。

 一方で、レアなギアにありがちな“転売ヤー”への対策も欠かせない。抽選の倍率は非公表だが、何度応募してもハズレてしまうというユーザーがいる中で、転売ヤーが高額で販売するとクレームの要因になる。そのため、当選後は一度店頭へ足を運んでもらって本人確認を行い、入金、商品の受け取り方法を選択するというフローを組み込んでいるが、それでも悪質な転売は減らないという。

 「サバティカルは高品質のアイテムを安く売りたいというコンセプトなので、転売で高くなっているというのは本末転倒。対策を練ってはいるが、減らないのが悩ましい」(吉野氏)

21年は既存モデルのオプションパーツを拡充する予定で、今のところ新しいテントやシェルターの発売予定はないそうだ
21年は既存モデルのオプションパーツを拡充する予定で、今のところ新しいテントやシェルターの発売予定はないそうだ

 今後の抽選販売の受付時期については、入荷が確定した段階で公式ホームページのニュース欄で告知される。A&FカントリーのLINEアカウントでも告知するそうなので、抽選情報をキャッチアップするのであれば、友だち登録しておくといいだろう。

 「コロナ禍なので、当初の計画通りには進んでいない。にもかかわらず売れているのはありがたい限りだ。サバティカルはテントを軸に商品構成を広げていく予定だが、新製品の開発をしたくても、今は海外の工場へ行くことすらできない。打ち合わせも進められないので、スローダウンしてしまっているのは残念だが仕方がない」(吉野氏)

 品質と価格のバランスに優れたサバティカルは、これからキャンプを始めたいと思っているエントリー層には間違いなく注目ブランドの1つだ。早くコロナ禍が落ち着き、供給が安定することを願いたい。

(写真提供/エイアンドエフ)