今を時めくテントデザイナーがプロジェクトに参画

 アウトドアショップがオリジナルブランドを手掛けている例は枚挙にいとまがない。しかし、サバティカルほど話題を集め、発売早々から手に入れにくい状況が続いているというブランドはあまり聞いたことがない。なぜ、これほどの好スタートが切れたのか。

 「A&Fカントリーは輸入した商品を売るためのノウハウは持っていたが、イチから商品を開発する経験は皆無。そこで白羽の矢を立てたのが、ゼインアーツ(長野県松本市)の小杉敬社長。彼が今回のプロジェクトに参画してくれたことで、テントのデザインから製造工場の選定までスムーズに進んだ。準備期間1年でローンチまで持っていけたのは彼の存在が大きい」と吉野氏。

第1弾モデルの中でも注目を集めた「モーニンググローリー TC(4万3780円)」。1ポールだけど居住スペースを広くする工夫が随所に施されている
第1弾モデルの中でも注目を集めた「モーニンググローリー TC(4万3780円)」。1ポールだけど居住スペースを広くする工夫が随所に施されている

 小杉氏といえば、某アウトドアメーカーでのギアの企画・開発経験をバックボーンに、18年末に自身のブランド「ゼインアーツ」を立ち上げた人物(こちらのブランドも大人気で、いまだに手に入らない状況が続いている)。その小杉氏がゼインアーツと差別化を図りながら、うまく共存できる形に落とし込んだのがサバティカルというわけだ。

 「最初に出すモデルはそのブランドのイメージを作る上でとにかく重要。一般的なデザインではインパクトは少ないので、特徴的な形状のシェルター2モデルを採用した」(吉野氏)

最大8人まで収容できる大型シェルターの「スカイパイロット TC(8万4480円)」。モデル名はすべて高山植物の花の名前に由来している(撮影地/ゴンドーシャロレーオートキャンプ場)
最大8人まで収容できる大型シェルターの「スカイパイロット TC(8万4480円)」。モデル名はすべて高山植物の花の名前に由来している(撮影地/ゴンドーシャロレーオートキャンプ場)

 少し専門的な話になるが、テントとシェルターは見た目も機能性も別物だ。テントはフライシートが付いているので結露に強く、居住性が高いのが特徴。一方シェルターは、より簡易的な構造で素早く設営できるのがメリットで、ポールを足したりすることで張り方のアレンジも楽しめ、どちらかというと玄人向き。だが、その狙いが的中した。

 「第1弾モデルのシェルターは、初心者よりもキャンプ経験のあるユーザーの購入が多かった。そこから口コミやSNSでサバティカルを知ったという人も多い。20年の春に第2弾モデルとして追加した2つのテントは、より裾野を広げるために軽くて扱いやすいポリエステル素材を採用した。こちらも予想以上の反響を集めたが、特にファミリーキャンプをこれから始めるというエントリーユーザーに支持された」(吉野氏)

 サバティカルの登場により、A&Fカントリー店頭ではLEDランタンやチェアといったキャンプ関連製品の売り上げも増えているという。当初の狙い通り新しい顧客の開拓に成功した。しかしその半面、コロナ禍においては販売方法や量産体制に歯がゆい部分も多いという。