自分の血圧に衝撃を受ける

 HeartGuideのメインターゲットは40~50代の血圧を気にしている人たちで、実際に購買層の9割弱が男性、その4割強が40~50代という。既に血圧計を使用していて、持ち歩ける2台目の血圧計として購入する人も多いそうだ。ウエアラブルなので身に着けて会社などに行けることが大きいとみている。

 「病気になったことがあるなどの理由で血圧を気にしている人にとって、いつでもどこでも測定できることは安心感につながる。仕事中に気分が悪くなったら測る、会議などストレスがたまるタイミングで測るといった使い方をして、血圧が上がっていたら休憩を取ろうといった気づきが得られる」(松尾氏)。

 筆者はアラフィフ男性で、まさにそのターゲットに当てはまる。実際に使ってみると、朝と晩はそれほどではないものの、日中はほとんどの時間帯が高血圧であることが判明した。これまで大きな疾患に見舞われたことがなく、血圧も全く気にしたことがなかっただけに大変ショックでしばらく落ち込んだが、医者に相談して食事や生活習慣に気を付けるようになるなど、健康を考えるきっかけになった。こうした気づきを得られるのは大きなメリットだろう。

蓄積した血圧データに基づいてアドバイスを表示してくれる
蓄積した血圧データに基づいてアドバイスを表示してくれる

 血圧を測定し、歩数のカウントや睡眠のモニタリングができ、操作も簡単な機器だが、唯一気になったのはバッテリーだ。満充電なら1日8回の血圧測定で約2日間使用できる仕様だが、血圧測定が楽しくなってきて頻繁に測定していたら、十数回測定したところで1日持たずにバッテリーを消耗してしまった。測定するタイミングや回数をあらかじめ決めておき、こまめな充電を心がけたほうがよさそうだ。

ACアダプターと充電用USBケーブル、充電用アタッチメントなどが付属する
ACアダプターと充電用USBケーブル、充電用アタッチメントなどが付属する
充電用アタッチメントをバンドの裏にある端子に取り付けて充電する
充電用アタッチメントをバンドの裏にある端子に取り付けて充電する

 新型コロナウイルス感染拡大による影響で健康意識が高まったこともあり、オムロンでは20年4月の血圧計の出荷台数が前年同月を上回ったという。「世界中で健康や血圧に対する関心は高まっている。自分の血圧を測ってみたい、しかしロックダウンの影響や感染が怖いなどの理由で病院に行くのは避けたいという人が多い。病院のオンライン診療の影響もあり、家庭で血圧やバイタルを管理しようという機運や需要は高まっている」と松尾氏は市場の拡大を見込む。

 HeartGuideは血圧計としては高額だ。それでも「まず、血圧計の市場が大きく先進機器が受け入れられやすい米国で発売したところ、想定の4倍のオーダーが入った。日本でも想定以上に売れていて、発売当初は入荷するとすぐに売り切れる状態が続いた。ウエアラブル機器の一歩目としては成功と考えている」(松尾氏)。

 オシロメトリック法を採用し、医療機器認証を取得したウエアラブル血圧計は他にない。そこに価値を感じる健康意識の高い人の潜在需要を掘り起こしたからこそのヒットだろう。いつでもどこでも自分の血圧を把握したいというニーズに応えながら、なおかつ腕時計型のデザインで見た目の違和感をとことん抑えた機器として、HeartGuideの快走はしばらく続きそうだ。

(写真/スタジオキャスパー)