初回販売分はまさに“瞬殺”

 先述のとおり、タープの役割は雨や直射日光を防ぐこと。よって、撥水(はっすい)性や遮光性といった機能が高ければ高いほど快適に過ごせる。一方で、一般的なタープの素材は化学繊維が多いため、キャンプの醍醐味であるたき火との相性はよくない。火の粉が少し飛んできただけでも穴が空いてしまうので、タープの下(もしくは近く)でたき火を楽しむには、コットン素材など燃焼リスクの低い素材のモデルを選ぶ必要があった。そこに大熊氏は目を付けた。

タープの下でたき火を楽しめる幕男。センターポール2本でも自立するが、サイドに4本プラスすると開放感が増す
タープの下でたき火を楽しめる幕男。センターポール2本でも自立するが、サイドに4本プラスすると開放感が増す

 「ヘキサテーブルを作ったきっかけもたき火。幕男を開発するに当たっても、やはりたき火を楽しめることだけは譲りたくありませんでした。そこで生地の表面と裏面、火の粉が当たる可能性のある部分に難燃コーティングを施しました。多少の火の粉であれば気にせずに、タープの下でもたき火を楽しめます。これはアーバンフォレストの製品にはない機能です」(大熊氏)

 幕男のもう1つの特徴が豊富なカラーリングだ。通常、大手アウトドアメーカーのタープは、自社のテントと合わせたカラーリングのみの展開が多く、選択肢が少ない。その点、幕男は発売当時で全6色、現在では全11色から選べる豊富なカラーバリエーションが魅力となっている。

 「タープは面積も大きいので、基本的にはテントとカラーコーディネートを楽しむもの。しかし、海外製のテントやレアなビンテージテントを使っていると、なかなかフィットするタープが見つからなかった。そこで、幕男はそれらのテントに合わせたカラー展開にしました」(大熊氏)

幕男の「みどり」は、スウェーデン発の人気ブランド・ヒルバーグのテントとの組み合わせを想定して作られた
幕男の「みどり」は、スウェーデン発の人気ブランド・ヒルバーグのテントとの組み合わせを想定して作られた

 例えば「みどり」や「あか」はヒルバーグ、「きいろ」はザ・ノース・フェイスといった具合に、コアなキャンパーたちが愛用しているテントをリサーチして、そのカラーにそろえた。この戦略が狙い通りはまり、初回販売から大反響を巻き起こすことになる。

 「発売する2週間前から、幕男の写真をInstagramにアップしていきました。問い合わせのコメントがいっぱい来ましたが、あえて無言を貫きました。そして18年4月9日に、『明日、正午から販売受付をします。先着順です。欲しい人は以下のメールに連絡ください』と投稿したんです。すると定刻になった瞬間、ものすごい量のメールが届きました。想像以上の反響でしたね」(大熊氏)

 初回に用意した在庫は、各色10枚の全60枚。これがものの1分ですべて売り切れたというのだ。たき火が楽しめて、こだわりのテントとカラーコーディネートできる。そんなタープを待ち望んでいたキャンパーが大勢いたのだ。