フルマラソン2時間切りに日本新記録――。圧倒的な速さを見せつけた米ナイキの厚底シューズだが、技術的な詳細は公開されていない。開発責任者へのインタビュー、米国で出願した特許からその核心に迫る。追撃するライバル大手の戦略も明らかになってきた。

「Nike Air Zoom Alphafly NEXT%」。厚いソールと内部構造によって記録を塗り替え続けている
「Nike Air Zoom Alphafly NEXT%」。厚いソールと内部構造によって記録を塗り替え続けている

 ナイキの厚底シューズの速さを実現しているのが、プレートをウレタン素材のソールで挟み込む特殊な3層構造である。プレートは反発力の高いカーボンファイバー製を採用している。さらに、つま先と土踏まずの間には、ナイキのお家芸とも言える小型のエアソールが2個ついている。

ソールの前後で異なる役割

「Nike Air Zoom Alphafly NEXT%」のソール。つま先側に2個の小型エアソールが内蔵されることが分かる、ソールの黒い部分がカーボンのプレート
「Nike Air Zoom Alphafly NEXT%」のソール。つま先側に2個の小型エアソールが内蔵されることが分かる、ソールの黒い部分がカーボンのプレート

 つまりソールの後ろ半分の厚底で主としてクッション性、前半分の内部構造で反発性を生み出しているのだ。この構造によって、着地のエネルギーを安全かつ効率的に進む力に変える。米ナイキのフットウェアイノベーションを担当するトニー・ビグネルVPが言うように、「ロッキングチェアのようにして前進する推進力を得る」のである。

 ソールのエアを担当するクッショニング イノベーション VPのキャシー・ゴメス氏は「エアの部分はサイズによって空気圧を変えるなどで、調整している。厚めのものもあるし形も変える」と明かす。つまり、ソールの厚みや材質、プレートだけでは追い込めない最適な“ロッキングチェア”としての特性を、エアソールで補って実現しているのだ。

ナイキの出願した厚底シューズに関連する特許。米国特許公開番号「2018/0213886 A1」。100ページ近くの分量がある
ナイキの出願した厚底シューズに関連する特許。米国特許公開番号「2018/0213886 A1」。100ページ近くの分量がある

米国で多数の厚底特許を出願

 ナイキは米国の特許庁に厚底シューズに関する特許を数多く出願している。厚底シューズの構造やテクノロジーを知るうえで重要な資料となる。

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