【先見スペシャル】マーケターのためのリスキリング講座 第1回

日経クロストレンドのアドバイザリーボードに世の中で話題になっているテーマについて語ってもらうこの連載、今回のスペシャルテーマは「リスキリング」。早稲田大学ビジネススクールの入山章栄教授は、意外にも「『リスキリング』という言葉が刺さる人は、今ハッピーじゃないのでは?」と疑問を投げかける。その理由と、入山教授が提唱する「ナチュラル・リスキリング」について聞いた。

早稲田大学ビジネススクールの入山章栄教授
早稲田大学ビジネススクールの入山章栄教授

リスキリングは「続ける」ことが大切

 少し失礼な言い方になるかもしれませんが、「リスキリング」という言葉が刺さっている人は、これまであまりハッピーじゃないキャリアを歩んできた可能性があるかもしれません。

 リスキリングってそれほど大げさなものではないからです。リスキリングというのが、「大人になってからでも自分に新しいスキルを身につけること」だとすれば、それは好奇心と自律性がある人なら、いつでも当たり前のように行ってきたことのはずです。

 今は変化の激しい時代です。新型コロナウイルス禍はそれを加速させました。例えば日本のサービス業は、今までは日本語という言語に守られていました。しかし、コロナ禍でビデオ会議システムのZoomが浸透してきたわけで、そこに自動翻訳機能が付いたら世界中の企業が日本を相手にビジネスができるようになります。言語に守られている日本のサービス業は厳しくなるでしょう。つぶれるところも出てくるはずです。私の所属する大学業界だって、自動翻訳が入れば危機にさらされるところは出てくるでしょう。

 人材の移動も激しくなります。現在はベンチャー企業でも資金調達が容易になっています。ベンチャー企業は最初に人材にお金をかけるので、給料が上がっています。今までは、「夢はあってもお金がない」のがベンチャー企業でしたが、今は「夢もあってお金もある」という状態になりつつあり、大手企業からベンチャー企業への転職がどんどん進んでいくはずです。

 そのように変化の激しい時代ですから、常にリスキリングをして自分自身を変化させていくことも当たり前なのです。むしろ大事なのは、一度勉強して「リスキリングをした!」と安心するのではなく、常にリスキリングをし続けていくことだと思います。

 学校に行ったり、オンライン講座を受けたりすることだけではなく、今までと異なる経験をしてそこから学ぶこともリスキリングのはずです。

 例えば私の場合、2021年に日経テレ東大学の番組「FACT LOGICAL(ファクト・ロジカル)」とYouTubeチャンネルの司会を引き受けました。私は学者なので「YouTubeチャンネルの司会なんてやっていいのだろうか」とも思ったのですが、「新しい挑戦をしてみるのもいいかな」と思って始めたのです。おかげさまでアクセスは好調で、そこで分かったことがあります。私自身は「司会としてうまく話をまとめる」のは得意なのですが、いわゆる「一言でズバッと切り込んだ面白い発言する」のは得意ではない、ということです。

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