アドバイザリーボードの「先見」【2021年年末の先見スペシャル】Beyondコロナ 第2回

魅力ある素材の発掘や加工を通じ、地域デザインの視点から地元との共創に取り組むONE・GLOCAL(東京・中央)の鎌田由美子氏による「2021年の総括」。新型コロナウイルス感染症の拡大により、企業は働き方を見つめ直すことになったが、鎌田氏は多くの日本企業が「高度経済成長期に培われてきた日本経済の“盤石”な仕組みを引きずってしまっている」と警鐘を鳴らす。

ONE・GLOCAL代表取締役の鎌田由美子氏
ONE・GLOCAL代表取締役の鎌田由美子氏

顔色をうかがいやすい日本人

 2021年も「withコロナ」の1年でしたが、20年同様これは日本だけではなく世界中が同じ状況でした。そして想定通り、世界各国のほうが意志を持って変化すること、もろもろの判断が早かったように思います。

榊氏(第33回)からのメッセージはこちら

 新型コロナウイルスの感染が多くの国で急拡大し始めた20年春、どの国でもデジタル化が急速に進みましたが、日本はさまざまな対策に時間がかかりました。これまでも英米で各種手続きをする場合、役所に行くことはなく全てオンライン。ベースが違うと言えばそれまでですが、給付金の払い込みや日本の「Go To Eatキャンペーン事業」に当たる割引も迅速で、緊急事態でそのスピードの重要性を再認識しました。これはやはり国民性というのもあるでしょう。着実に進めたことで奏功するケースもありますが、後れを取ったままということも十分あり得る。DX(デジタルトランスフォーメーション)以前に、今回の場合、時間がたつにつれ、デジタル化の遅れが日常生活や経済各所に影響を及ぼしているように感じました。

 その最たるものの一つが、高度経済成長期に培われてきた日本経済の盤石な仕組みややり方を引きずっていることによるデメリットだと思います。例えば、大企業の中には、緊急事態宣言が解除されると出社を基本に戻した会社もあちこちで聞きました。また、地方自治体での打ち合わせは1つのカメラで複数人が参加することが多く、本来のオンライン会議ができず不便を感じました。基本は出社を命じながらも「常識の範囲内で在宅ワークをしても構わない」という、選択肢にした会社もありますが、顔色をうかがう体質の日本企業の社員は抜本的に変わることができないでしょう。

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