アドバイザリーボードの「先見」

新入社員の入社や他部署からの人事異動など、様々な動きが起こる新年度。その中で、新卒や部署異動で広報部へ配属される人は、事前にどんな準備をし、どのような心構えで仕事に臨むべきなのか。長年広報職を経験してきたNECパーソナルコンピュータ広報部長の鈴木正義氏に聞いた。

NECパーソナルコンピュータ広報部長の鈴木正義氏
NECパーソナルコンピュータ広報部長の鈴木正義氏

 4月から新しく広報に配属される人の中には、広報という仕事に対して不安を抱いている人もいるでしょう。そこで知っておいていただきたいのが、広報の人間が持っておくべき心構えです。

伊東氏(第31回)からのメッセージはこちら

 1つ目は、「マスコミの対外窓口」ということ。「広報」といっても様々な定義がありますが、会社とマスコミの中間に自分がいるような考え方を持つほうがよいと考えています。メディアに新サービスや商品が取り上げられる場合、企業側が金銭を払って宣伝をしてもらうわけではありません。当然メディアが書くべきだと思っていることと、企業が書いてもらいたいと思っていることにギャップが生まれます。企業側の伝えたいことだけでは記事にならなかったり、メディアが作成した記事が我々の意図しているものとは異なったりすることも多分にあるでしょう。企業の人間でありながら中立な立場を取り、メディア側の書きたいことを理解しておけば、どのような情報を提示すればよいか、ある程度予測を立てて対応することができます。

 2つ目が、「会社の代表であると意識する」ことです。私は経営視点が必要な職だと思っています。自分の書いた文章が会社の公式声明としてプレスリリースになることはもちろんですが、発言によってはある部署にとっては利益になる話でも、別の部署にとってはあまり触れてほしくない話だったりする場合もあります。そういった意味で広い視野が必要になるので、会社全体にアンテナを張るべきだと思います。

 企業によっては広報室が社長室の直下にあったり、経営企画室などに連動したりしているケースが多く見受けられますが、会社の経営情報が集まってくる場所が広報室です。「社長の補佐役」と言うと口幅ったいですが、社長と同じ情報源は常に確保しておくべきだと思っています。

取材の売り込み、「断られる経験」も大事に

 これらの心構えを実現するためにはどうすればよいのでしょうか。経営情報は社内で得ることができますが、メディアに対する理解となるとそうはいきません。私が最も勉強になると思っているのは、メディアの記者と話すことです。掲載してほしいメディアを知らなければ、的外れな売り込みになってしまいます。

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