春の人事異動でマーケティング部門へ異動になった人、そして新卒でマーケター職に就いた人はどうすれば活躍できるのか。2020年6月にエステーを退職し、かげこうじ事務所を設立した鹿毛康司氏が考える「新人マーケターのあなたが今、やるべきこと」。大切なのは「本質理解」だと鹿毛氏は力説する。

かげこうじ事務所代表の鹿毛康司氏
かげこうじ事務所代表の鹿毛康司氏

マーケティングは人の心に訴えかける仕事

 新しくマーケティング部門の職に就いたとき、意識すべきポイントは3つあります。1つ目はマーケティングの本質を理解する努力をすることです。

富永氏(第28回)からのメッセージはこちら

 「マーケティング」という言葉の意味は大きな広がりを見せていて、会社や個人によって捉え方は異なります。BtoBの仕事をしている人、Webを専門的に扱っている人、TwitterなどSNSを担当している人、それぞれが思い描くマーケティングというものがある。大きな組織になればなるほど、様々な部署・部門があり、担当している分野こそがマーケティングの本筋だといつの間にか思い込んでしまうことがあります。しかしマーケティングは、そもそも人の心に訴えかける仕事で、考えるべきベースは同じなのです。

 例えばこの春からSNS担当の部署に着任し、結果を出そうと努力したとしましょう。そこで陥りがちなのは、SNSのことだけを意識するあまり、狭い思考になってしまうこと。担当分野とはあくまでも任務の領域にすぎず、マーケティングはもっと広い視野で物事を見る必要がある。将来的に会社を背負うマーケターを目指すには、常に全体を見渡し、勉強し続けなくていけません。

 そもそもSNSマーケティングは、会社とお客様が寄り添いながら一緒に何かを作り上げていくという「マーケティング4.0」の概念です。そのような認識が部内に浸透していればよいのですが、ついつい「これはどのくらい拡散された?」「インプレッションはどれくらい?」など、KPI(重要業績評価指標)だけで物事を判断してしまいがちです。

 結果が振るわない場合の打開策は「キャンペーンを催し、景品を付けよう」が常とう手段です。人を集める手段にはなり得ますが、この「How」の部分、つまり“景品を付ける”行為がマーケターの手法だと思い込んでいる人がいる。非常に危険な発想です。

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