新型コロナウイルスの感染拡大でエンターテインメント産業は危機にひんしている。ソニー・ミュージックレーベルズ第三レーベルグループEPICレコードジャパン Office RIA制作部 EST制作部部長の梶望氏に、新型コロナがもたらすエンタメビジネスの変化について聞いた。(取材日は2020年5月11日)
「ニューノーマル(新常態)」の提案が必要
2020年5月25日に緊急事態宣言は解除されましたが、新型コロナウイルスの感染拡大によって、イベントやライブなどいわゆるファンを集める(接触する)ビジネスは展開できない状況に陥りました。5月は一部のCDショップも営業を自粛せざるを得ない状況で、CDのリリース延期を余儀なくされたアーティストもいました。EC(電子商取引)は営業を続けましたが、人員を割けずに特典を発送できないという、これまで経験したことのないことも起きています。
アーティストのプロモーション活動は、テレビの場合は接触を避けるためリモートでの出演、ラジオも同様の対応をとりました。いわゆる「ステイホーム企画」が活動の主流になりつつありますが、クオリティーをどう担保していくのかは、プロモーションサイドにとっても難しい課題だと感じています。
実際に音楽を創る環境、特に音楽スタジオは“密室”なので、今まで通りの人が集まってのレコーディングは難しい。ミュージックビデオ制作に関しても同様です。こういった状況の中、どうしたらクリエイティブなことができるのか――。現在もアーティストと担当A&Rが二人三脚で試行錯誤しています。
緊急事態宣言が解除されたからといって、多くの人を集客する興業を宣言前と同様に行うことはすぐには難しいでしょう。韓国では緊急事態宣言を解除した直後、クラブでクラスターが発生してしまいました。我々としては1日も早く今まで通りライブやイベント事業も再開させたいという思いはありますが、そこは慎重に判断せざるを得ません。
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