マーケティングコンサルティング会社・ウォンツアンドバリュー代表でマーケティング戦略コンサルタントの永井孝尚氏が考える「新型コロナウイルス以降の世界」。後編はコロナ以降の世界で活躍する人材「アントレプレナーマーケター」について、話を聞いた。

コロナ以降の世界で活躍するのは、日本のマーケターかもしれない(写真提供/Shutterstock)
コロナ以降の世界で活躍するのは、日本のマーケターかもしれない(写真提供/Shutterstock)
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「日本的経営」が危機に打ち勝つヒントに

 あえてポジティブに考えると、新型コロナウイルスは日本社会再構築のきっかけになるかもしれません。日本は歴史の大きな転換期で社会的課題に向き合ったときに、常に底力を発揮してきました。その原点は、江戸時代初期に遡ることができます。

 江戸時代初期の思想家・鈴木正三(しょうさん)は、武士を経て禅宗の僧侶となり、その後、宗教的な活動を始めた人です。正三は「天然の秩序の中に、人間の内心の秩序がある。これらの秩序に従えば本来人間は苦しまない。しかし内心の秩序が三毒(貪欲、怒りや憎しみ、愚痴)に冒されると人は苦しむ。そこで仏行(修行)に励めば、三毒に冒されなくなる」と言いました。

 しかし当時は長い戦国時代が終わった戦後経済。農民や商人は生き残るために日々の仕事で精いっぱい、修行をできる人はいませんでした。これに対して正三は「農業こそ仏行だ。暑い日も寒い日も畑を耕し、自分が食べる以上のものを作って世の中に返す百姓は、ろくに修行しない僧よりもずっと立派である。仏に感謝し田畑を耕せば、悟りが開ける」と答えました。

 この考えは、江戸時代後期の思想家である石田梅岩(ばいがん)に受け継がれました。商人出身だった梅岩は、庶民の視点でこの考えを広げました。当時の商人は金もうけ第一主義で力が強く、世の中からの反発も多かったのですが、梅岩は「武士が主君への忠義がないのに禄(ろく)をもらえば武士ではない。同様に商人も顧客への誠実さがなければ商人といえない。顧客への誠実さが第一だ。常に奉仕を心掛け、欲を出すな」と説きました。

 こうして日本の庶民には、仕事を「世のため人のため」と考え、利益を否定せずに顧客第一と倹約を心掛け、「どんな事業も仏行」と仕事に励む考え方が広がっていきました。

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