新年度は新入社員の入社、社内での大規模な人事異動など大きな動きがある。そこでマーケティング部門に関わる人の立場別に、どういった心構えが必要なのか識者に話を聞いた。今回はプリファード・ネットワークス 執行役員CMO(最高マーケティング責任者)の富永朋信氏に「マーケティング部に配属された新入社員がやるべきこと」について話してもらった。

プリファード・ネットワークス 執行役員CMO(最高マーケティング責任者)の富永朋信氏
プリファード・ネットワークス 執行役員CMO(最高マーケティング責任者)の富永朋信氏

 会社の配属というのは、当然ながら誰しも希望が通るわけではありません。学生時代に勉強してきた分野の知識を生かすことが難しい部署に着任するケースもあると思います。

“勉強する習慣”をつくる

 希望通りマーケティング部に配属した新入社員がそこで活躍するにはどうしたらいいのか。まず、与えられた業務とは別に、“勉強する習慣”をつけてほしいと思います。というのも、すべての企業にマーケティング活動はありますが、各企業でマーケティングに対する考え方が違うからです。

 マーケティングの源流を見てみると、フィリップ・コトラーをはじめ、デービッド・アーカーやケビン・レーン・ケラーといった、ファウンダーたちの理論があります。それらは時代を超えて通用する真理でありながら、その経過とともに、またさまざまな産業や企業の差異を反映する形で、実践のフォルムを変遷してきました。日々の会社の業務やOJTの中だけでマーケティングを学んでいくと、カスタマイズされた企業の方針にどっぷりとつかっていき、「なぜそれがそうなるのか?」という疑問を抱くのが難しくなります。きちんと歴史を遡り、マーケティングの原点について学ぶことで、「今なぜこの会社でこういう現象が起きているんだ?」という一段高い視野から冷静に物事を見れるようになります。社会人1年目の新人として働き、諸先輩方をキャッチアップしながら、さらに熱量を持って勉強するのは大変なことです。それでもやってほしいと思うのは、その蓄積こそがいずれビジネスパーソンとしての血となり肉となるからです。

自分主体のアイデアを出す

 次のステップですが、自社のマーケティング活動と勉強したことを俯瞰(ふかん)しながら、小さな提案で構いませんので、自分主体のアイデアを出してみてください。これはやり方によっては、生意気だと思われるかもしれません。そこで、まず大勢に影響のない、小さな範囲でやってみることをお勧めします。その上で熱意を込めて上司や周囲にプレゼンすると、理解を得られる場合もあるでしょう。そのプレゼンには、普段自社で行っているマーケティング活動の考えに加え、勉強してきた別のフレームが含まれているはずなので、普段と少し違った反応が得られると思います。それを勲章として蓄積していけば、社内でのプレゼンスを高めることにつながるでしょう。

 このような経験を積むことで、自社のブランドやマーケティング施策に対する理解もより深まります。普段の業務を、もう1つ別のメガネで見つめ直し、比較することにより、複眼的な見方もできるようになります。こうして、マーケターとしてのプロフェッショナリズムが形成されていくのです。

 もし、1回目で企画が通らなかったとしても、そこでくじけず様子を見ながら何度もトライしてみましょう。大事なことは「今年マーケティング部に入った新人は、いろいろ勉強をしているし、新しい視野を含んだ提案をしてくれる」という定評を社内でつくっていくことです。それにより、新たな仕事を任される機会が生まれ、徐々に仕事の幅も広がっていくと思います。

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