2019年3月に開始したコーヒー豆を毎月届けるUCC上島珈琲(神戸市)のサブスクリプションサービスが、リピーターが続出するなど好調だ。ECであるにもかかわらず、個々人の味の嗜好を分析し、好みに合ったコーヒーを提案するのが最大の特徴。裏側にある、顧客との接点作りの“妙”に、人気の秘密が隠されている。

毎月届くコーヒーの感想を入力していくことで、より好みに合ったコーヒーが届くようになる「My COFFEE お届け便」(写真提供/UCC上島珈琲)
毎月届くコーヒーの感想を入力していくことで、より好みに合ったコーヒーが届くようになる「My COFFEE お届け便」(写真提供/UCC上島珈琲)

 「この豆は、苦味も煎りも超好みだぞ。間違いなく『好き!』だ」――。UCC上島珈琲が、2019年3月から提供するコーヒーのサブスクサービス「My COFFEE お届け便」。契約者は、送られてきた豆でいれたコーヒーを飲みながら、毎回スマートフォンでアクセスしたウェブサイト上で「好き!」か「う~ん……」のどちらかを選んでもらう。これを繰り返していくうちに顧客がどのようなコーヒー豆を好きなのか徐々に“ストライクゾーン”を割り出していく、今までにないサービスだ。(参考記事「UCCのサブスク型コーヒー 店舗網を生かしたO2Oサービス構築」

 1933年(昭和8年)創業の同社は、店舗や家庭用レギュラーコーヒー製品、世界初となる缶コーヒーなど、日本のコーヒー文化を様々な角度から醸成してきた。コーヒー豆の需要が右肩上がりで成長を続ける一方で、消費者の好みは細分化。そこで「私にぴったりのコーヒーに出会うことができる」「私らしいコーヒースタイルを見つけることができる」をコンセプトに掲げ、18年3月に立ち上げた新業態が「COFFEE STYLE UCC」だ。リアル店舗、ECサイトの両方で展開しており、My COFFEE お届け便は、そのサービスのーつという位置付けで提供している。

好みのコーヒーのストライクゾーンを導き出す

 サービスが誕生した背景にあるのが、デパ地下を中心に約30店舗を以前から展開しているコーヒー販売店「UCC CAFE MERCADO」ではいちげん客が多く、リピーターが生まれにくいという課題だった。「店舗側は来店客の嗜好の把握が難しく、顧客も次にどのコーヒーを買ったらいいのか分からない。だからリピートしてくれない。オンラインサービスを付与して、うまく解決できないかと考えた」。本サービスを企画したUCC上島珈琲マーケティング本部デジタル推進部の染谷清史部長は、こう明かす。

 こうして編み出したのが、最初に「テイスティングキット」(税・送料込み1058円)を申し込んでもらい、自分の好みを探し出すというサブスクサービスだ。顧客の嗜好データが蓄積できれば好みの味のコーヒーをレコメンドできる。しかも、より正確なプロモーション戦略を立てやすく、今後の商品開発にも役立つ。リアル店舗だけの場合よりも顧客との接点が強まり、継続的にUCCのコーヒーを購入してもらえると踏んだ。

 テイスティングキットには、「苦味と酸味」「ライトとストロング」という2軸で評価した異なる味のコーヒー4種類が入っている。これらを飲み比べて感想をウェブページ上に記録していく。すると、自分だけのコーヒーの好みを示す「COFFEE マップ」が作成される。全部で36種類ある好みのパターンの中から、だいたいの傾向を導き出す仕組みだ。

届いたコーヒーの感想を選択する(写真提供/UCC上島珈琲)
届いたコーヒーの感想を選択する(写真提供/UCC上島珈琲)
自分の嗜好パターンがマッピングされていく(写真提供/UCC上島珈琲)
自分の嗜好パターンがマッピングされていく(写真提供/UCC上島珈琲)

 すると翌月には、好きと回答したコーヒーの風味に近いコーヒーが3種類届く。再び感想を登録すると好みの特性がまた分析され、さらに翌々月にはより好みに近いコーヒーが届く。毎月これを繰り返すことで、COFFEE マップが更新され、ストライクゾーンにどんどん近づいていくわけだ。染谷氏によると「数カ月で、その人が好む味の傾向が見えてくる」という。

顧客に飽きられない秘訣は?

 コースは全部で3種類用意する。違いは届くコーヒーの量にある。1杯分(12g)の個包装が5杯分の「おきがるコース」(月980円。税・送料別。以下同)、3袋(合計180g、約15杯相当)の「たまにはコース」(月1580円)、5袋(合計300g、約25杯相当)の「いつでもコース」(月2580円)がある。1杯当たりの単価は100~200円程度。コンビニコーヒーなどと比べるとやや高めだが、ターゲットはコーヒーの味にこだわりのある顧客であり、十分な競争力があると判断した。なお、コーヒーメーカーのレンタルがセットになったプランも別途ある(現在は受け付け停止中)。

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