「サブスク元年」が明けた2020年。混戦模様の中、消費者の心をがっちりと捉えるサービスと、実はそうではないサービスの色分けがくっきりと現れ始めている。では、生き残るサブスクビジネスの必要条件とはいったい何なのか。特集では、激戦時代を生き残るであろうサービスを厳選し、共通項を導き出してみたい。1回目に取り上げるのは、ホンダが2020年1月にスタートさせたばかりの“中古車サブスク”である。

ホンダは月2万9800円(税込み)で1カ月単位で中古車を利用できるサービスを始めた(写真提供/ホンダ)
ホンダは月2万9800円(税込み)で1カ月単位で中古車を利用できるサービスを始めた(写真提供/ホンダ)

 2020年1月28日にホンダが始めたサブスクリプションサービス「Honda Monthly Owner(ホンダ マンスリー オーナー)」が、好調な滑り出しを切っている。「想定よりも好評で、用意したクルマがすぐ出払ってしまう状況。登録会員数は順調に伸びており、当初に立てた目標はクリアできそうだ」。ホンダ日本本部営業企画部モビリティサービス推進課の星野仁課長は、顔をほころばせる。

 ホンダ マンスリー オーナーは、税金やメンテナンス費用、自動車保険料などすべて込みで、月2万9800円(税込み、以下同)から利用できる中古車のサブスクサービスだ。埼玉県和光市にある中古車販売店限定でサービスを開始したところ、当初用意した13台はすぐに予約で埋まり、毎週新たな車両を追加する状況が続く。たった1店舗での展開ながら、サービス開始から約1カ月の20年2月28日時点で25台をラインアップし、23台が予約済みとなっている。

提供車種を毎週のように追加しても、すぐに契約が決まる状況が続いている
提供車種を毎週のように追加しても、すぐに契約が決まる状況が続いている

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 なぜホンダ マンスリー オーナーは、消費者の心に刺さったのか。最大の理由は、映像配信サービスの「Netflix」や音楽配信サービスの「Spotify」のように、1カ月単位で契約・解約ができる自由度の高さにある。超短期でクルマを“所有”する、今までにない顧客体験を演出したのだ。

 クルマのサブスクは、これまでにもなかったわけではない。16年8月にはIDOM(旧ガリバーインターナショナル)が「NOREL(ノレル)」を開始しているし、トヨタ自動車も20年1月から「KINTO(キント)」を始めて、テレビCMを積極的に打っている。しかし、キントは3年間同じクルマに乗り続けるのが条件。マイカーを所有するのとあまり変わらないサービス設計になっていた。

 残念ながら、いずれも市場に定着したとは言い難い。例えばキントの場合、全国約5000ものトヨタディーラーで取り扱うにもかかわらず、開始後10カ月の申込件数は1000件に満たないとされる。最近は数年後の買い取り保証額分を差し引いて割安に購入できる「残価設定ローン」が普及しており、税金やメンテナンス費用、自動車保険料などが含まれているとはいえ、明確な価格メリットが伝わりにくい点も原因のようだ。

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