新型コロナウイルスの広がりで、各種イベントの中止が相次いでいる。在宅勤務へと移行する企業も増えつつある。人の往来はどれだけ減っているのか。人口動態分析のAgoop(東京・渋谷)が東京都内の一部で検証したところ、都外からの流入が5割減るなど、経済への打撃を裏付ける変化が見えてきた。

位置情報分析のAgoop(東京・渋谷)の調査によって、東京都外から都内への流入が5割減少しているなどの変化が見えてきた。画像はイメージ
位置情報分析のAgoop(東京・渋谷)の調査によって、東京都外から都内への流入が5割減少しているなどの変化が見えてきた。画像はイメージ
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 人との接触による新型コロナウイルスの感染を避けようと、街中を歩く人の数が減少しつつある。厚生労働省は2月16日に新型コロナウィルス感染症専門家会議を開き、「テレワークの促進」「時差出勤」「不要不急な集まりをなるべく減らす」などと呼びかけた。その後はビジネスの現場では各種イベントの中止や、リモートワークが広がっている。今後は観光あるいは買い物客の出足にも影響が広がっていくことも懸念されている。

 実際にどれだけの人が減少しているのか。携帯電話による位置情報を使った人口動態分析サービスを提供するAgoopが、東京都内の一部でデータを検証したところ、特にテレワークを導入したオフィスの人数や都外からの流入といったデータに変化が起きていることが分かった。

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東京・渋谷の高層ビル、セルリアンタワー近辺の人口を、20年1月14日~31日と2月17日~21日の平均値で分析した。グラフの横軸は0時~24時までの時間変化を示している。赤字の減少値は24時間平均の差分
東京・渋谷の高層ビル、セルリアンタワー近辺の人口を、20年1月14日~31日と2月17日~21日の平均値で分析した。グラフの横軸は0時~24時までの時間変化を示している。赤字の減少値は24時間平均の差分
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 顕著な結果が見られたのは、1月27日からいち早く在宅勤務へ移行したGMOインターネットのグループ本社がある東京・渋谷の高層ビル、セルリアンタワー近辺。新型コロナウイルスの影響が少なかった時期(20年1月14日~31日)と、厚生労働省が「不要不急な集まりをなるべく減らす」などと呼びかけた後の時期(2月17日~21日)の平均人口を比較したところ、21%の減少が見られた。

 このうち位置データの履歴から、そのエリアに通勤しているとみられる人を抽出して分析したところ29%減となっていた。リモートワークとなった社員だけでなく、来客の数も減っていることが影響していると考えられる。さらに東京都外から都内に流入してきた人のデータを見ると、59%も減少していた。都外からは観光客が多く含まれると考えられる。2月17日~21日は平日しか含んでいないという点は差し引いて考える必要はあるが、周辺の商業施設にも影響を与えていると見てよいだろう。

主要駅でも都外流入が5割減


 このほかAgoopは、渋谷駅、新宿駅、東京駅の周辺500メートルについても同様の分析をしている。いずれの駅でも全体では4~7%の減少にとどまっている。ただし、東京都外からの流入はいずれも約50%の減少が見られた。遠い距離を移動するとなれば、混雑する電車の中など不特定多数の人と接触する可能性も高まる。感染リスクを避けるために、娯楽や観光のためなど不急の外出を控えようとする意識はますます広がりそうだ。

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 Agoopはソフトバンク子会社で、商業施設の立地や販促の効果検証、あるいは自治体が観光振興や防災などに利用するための人口分析サービスを提供している。ラーメン情報アプリ「ラーメンチェッカー」などのアプリの利用者から事前の許諾を得たうえで、GPSの位置情報を取得。一定の区画(メッシュ)内にユーザーが滞在していた時間や人口の地域偏差などを考慮し、その地域の人口を予測している。

■修正履歴
・記事掲載当初、データ分析の項目表記で実際とは異なる部分がありました。本文は修正済みです。[2020/03/2 12:00]

(写真提供/shutterstock、Agoop)