新型コロナウイルス対策にAI(人工知能)やディープラーニングをどう活用すべきか、評価基準がデリバラブル(成果物)にシフトする「アフターコロナ時代」の働き方は日本でも可能なのか。米シリコンバレーを拠点に企業のAI活用・導入を支援するパロアルトインサイトの石角友愛CEO(最高経営責任者)と、ディープラーニング(深層学習)分野で日本をリードする東京大学大学院工学系研究科・松尾豊教授が語り合った。

石角 日本のニュース報道を見ていると、COVID-19への対処にAIやデータをどう活用すべきか、という視点があまりないように感じます。

 海外は違っていて、例えば(ダボス会議で知られる)「世界経済フォーラム」のサイトには「COVID-19の危機において、デジタルインフラストラクチャーはどう役立つか」という記事が上がっています。AIやビッグデータを活用したデジタルインフラを国や社会、組織の中につくることが、COVID-19危機を乗り越えるために必要不可欠という趣旨です。日本もこうした視点を持つことが重要でしょう。

 一方で、COVID-19の予測モデルをつくるのはとても難しいということも報道から見えてきます。例えば米ニューヨーク・タイムズは米国の死者を20万人と予測していますが、英ロンドン大学(インペリアル・カレッジ・ロンドン)は、「人々が行動を変えなかった場合」という前提で220万人と推定していて、大きな差がある。つまり死亡者数の予測モデリング1つをとっても、根拠が分からない話がたくさん出ている。

 こうした中、国や組織がどこまでどう注力すべきかという議論がないのは問題です。そこで今回はAIやビッグデータはパンデミック(世界的大流行)の解決にどう役立つのか。松尾先生のお考えを伺いたいと思っています。

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