米シアトルとその周辺には、AI(人工知能)など最先端のテクノロジーの人材を育て、集積するエコシステムが形成されている。エコシステムの中心にいるのは、米マイクロソフトであり、そこにアマゾンが加わって加速した。また、人材をたどっていくとワシントン大学に行き着くことがほとんどだ。大学でのインセンティブの与え方など、日本でも参考にできるノウハウがある。

シアトルのAIエコシステム。マイクロソフトが中心となって、ワシントン大学が基盤を支えている
シアトルのAIエコシステム。マイクロソフトが中心となって、ワシントン大学が基盤を支えている

 米シアトルにはAIエンジニアを引きつけて育て、人材が流動する確固としたエコシステムが出来上がっている。そのエンジンとなっているのが、米マイクロソフトと米アマゾン・ドット・コムである。

 両社には全米や全世界から優秀な人材が集まってきており、AIやクラウドのエンジニアを数多く抱えている。その数は実に5万人以上とされる。

 人材の供給源としてエコシステムを下支えしているのが、州立のワシントン大学である。ワシントン大学はAIやマシンラーニングに強みを持つコンピューターサイエンスの学科を擁しており、バイオやメディカルなどの分野でも連携したAIの利用が活発だ。

 地元企業もエコシステムの維持に余念がない。マイクロソフトやアマゾン、米ボーイングなどの地元企業も、資金や寄付講座でワシントン大学を支援し、人材の質と量の維持を図っている。ワシントン州政府も同大学の競争力を高めて維持することが、シアトルのAIエコシステムの拡大に重要であるとして、コンピューターサイエンス系学科の定員増などで強力に後押ししている。

 ワシントン大学は、シリコンバレーを支えるスタンフォード大学やカリフォルニア大学バークレー校(UCバークレー)などに比べると日本での知名度が低いが、世界でも高い評価を受けている。

 例えば、米U.S.News & World Reportが2019年10月に発表した、グローバルの学術研究力などを評価した世界大学ランキングでは英ケンブリッジ大学に次ぐ10位に位置している。ちなみに日本勢は東京大学が74位(前年62位、前々年57位)、京都大学は124位(前年119位、前々年114位)と引き離される一方だ。

 シアトルのAIエコシステムをまさに底辺から支えているのがワシントン大学である。強さの秘密はヒト・モノ・カネ、そしてデータが循環する仕組みを戦略的に作り上げていることだ。

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